木材由来,電気特性と3D構造をカスタマイズできるナノ半導体を創出大阪大学,東京大学,九州大学,岡山大学
環境調和型の次世代エレクトロニクスに向け,持続可能な電子デバイスの開発が希求されている。同グループは,持続可能な生物資源,木材ナノセルロース由来の紙「ナノペーパー」を用いて,紙の電子ペーパーや生分解性ペーパーメモリといった環境調和型の電子デバイスを世界に先駆けて開発してきた。しかし,ナノペーパーは電気を通さない完全な絶縁体であったため,これまでは主に基材としての利用にとどまっており,電子デバイスとして動作させるためには枯渇性資源由来の半導体が不可欠であった。
今回,ナノペーパーによる紙ならではの3D構造設計技術,および,段階的炭化・形態保持炭化技術を駆使し,絶縁体~準導体まで系統的な電気特性制御が可能,かつ,ナノ~マイクロ~マクロのトランススケールで3D構造制御が可能な新奇ナノ半導体を得ることに成功した。これにより,目的や用途に応じた電子機能や3D構造のカスタマイズが可能になり,すべて木材由来の電子デバイスを作製することも夢ではなくなる。持続可能なグリーン・エレクトロニクスの実現に向けた道を拓く成果として期待される。