2次元物質を用いたスピン流版太陽電池東京工業大学,千葉大学
バルクの磁性絶縁体におけるスピン流の整流効果は2019年に同チームによって提案されたが,候補物質はこれまで知られていなかった。本研究では空間反転対称性の破れた磁性絶縁体であるCrハライド系を対象として,光誘起スピン流の発生条件等を理論的に解析し,(1)この物質で光誘起スピン流がみられること,(2)この物質の光誘起スピン流が先行研究のそれと異なる機構で生じること,(3)そして先行研究の予測値よりも大きなスピン流が期待されることを提唱した。光誘起スピン流は,ギガヘルツ帯からテラヘルツ帯の光信号を磁気的信号に変換する現象であり,この現象を用いることで光と磁気の間の直接的な情報交換が可能となる。
本研究で候補物質とより大きな応答を実現する方法が明らかとなったことは,光磁気技術における新規機能性デバイスの実現に大きく近づく契機となると期待される。