世界最小電圧で光る青色有機ELの開発に成功東京工業大学,大阪大学,富山大学,静岡大学,分子科学研究所,科学技術振興機構
東京工業大学などの研究グループは,乾電池(1.5 V)1本をつなぐだけで光る,世界最小電圧で発光する青色有機ELの開発に成功した。
有機ELはスマートフォンなどで実用化されているが,消費電力が大きいという課題がある。特に三原色のうち最もエネルギーが大きな青い発光が一番難しく,通常4 V程度の電圧を要する。本グループでは2種の有機分子の界面でアップコンバージョン*という過程を起こす独自の発光原理を用い,この技術の開発に成功した。開発した有機ELは、462nmにおいて1.97Vのディスプレイ程度の発光輝度に到達した。これは青色発光ダイオードでも不可能な輝度であり,有機・無機双方を含め世界最小電圧で光る青色発光素子と言える。この発明は,テレビやスマートフォンなど有機ELを使ったディスプレイ機器の消費電力を削減する上での大きな一歩となるであろう。
*アップコンバージョン:エネルギーの低い励起状態からエネルギーの高い励起状態を作り出すプロセス。