フォトニック結晶で一般相対性理論に基づく疑似重力効果 6G 向け技術として期待東北大学,大阪大学,京都工芸繊維大学,科学技術振興機構
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東北大学などのグループは,300GHz帯のテラヘルツ電磁波に作用する「歪(ひずみ)フォトニック結晶」を作製し,電磁波の伝搬方向を曲げることに成功した。この技術はフォトニック結晶をプラットホームとした基礎物理科学の発展に加え,次世代通信「6G」と将来が期待されるテラヘルツ電磁波を制御する基盤技術として期待できる。
同グループは周期的な屈折率分布を持つフォトニック結晶の格子点の位置を空間的に連続的に緩やかに変化させ,電磁波に対する時空間の歪を人工的に生成させることで疑似的な重力の効果を発現できると考えた。一般相対性理論によれば,時空間の歪によって生じる重力場によって電磁波の伝搬方向を曲げることができると知られ,規則正しい電子の配列が緩やかに変化することで,電子に対する疑似的な重力効果が発現すると予測されていたからだ。
歪フォトニック結晶の効果は一般相対性理論における重力場が生み出す「歪んだ空間」に対応し,本研究により電磁波の伝搬方向の曲げはフォトニック結晶での電磁波に対する疑似重力効果の実証に成功したといえる。