大地震直前の電離層異常,粘土質内の水が超臨界状態になることで発生 京都大学
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京都大学のグループは、大地震発生直前に観察される電磁気学的異常を地殻破壊時の粘土質内の水が超臨界状態であることにより説明する物理メカニズムを発見した。
2011年の東北沖地震や2016年熊本地震などの大地震発生直前,震源付近の電離層上空で異常が観測されていたが、なぜ生じるかを説明する物理モデルの報告はなく、仮説の段階であった。
本研究グループは、プレート境界面にはすべりやすいスメクタイトなどの粘土質が存在し、その粘土質中の水が地震発生前の高温高圧下で超臨界状態となり、電気的な性質が通常の水と異なり絶縁性となり、電気的特性が急変することで電磁気学的異常が生成することを初めて提案、電離層への影響を大気の静電容量によりモデル化した。さらにモデルから予測される生成電場の大きさと観測される地震発生前の電離層の伝搬異常の速度変化が整合することを示した。
今後、宇宙(電離層)における異常と地震発生直前との物理が結合する新しい科学の誕生が期待され、さらに事前防災システムが実現し,地震多発地域での普及への貢献が考えられる。