高い稼働率の光格子時計で世界最高水準の時刻系を生成産業技術総合研究所,横浜国立大学
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産業技術総合研究所などのグループは、光格子時計によって高精度な時刻系を230日間連続して生成することに成功した。
現在、光格子時計を使って得られる光の周波数を基準とするよう、秒の定義の見直しが議論されている。秒の再定義で、現在よりも数万倍も「目盛りの細かいものさし」が確立し、高い精度の時刻や周波数を社会に供給できることが期待される。秒の定義の見直しには、新しい定義が現在の定義よりも高精度でかつ長期間安定していることなど、多くの課題がある。その中で、光格子時計を用いて原子時計の周波数を調整し、精度が高く安定した時刻系を生成することは、秒の再定義に向けて達成が望まれる条件の1つとされ、各国で研究が進められている。産総研では現在、連続運転が可能な原子時計である水素メーザー原子時計の周波数を手動の調整で時刻系を生成しているが、光格子時計を用いて調整すると、さらに高精度での生成が期待できる。しかし光格子時計は従来低稼働率で、光格子時計の停止期間に原子時計の周波数を正確に調整することが困難であった。
そこで過去に高い稼働率で運転に成功した光格子時計のデータを用い、その際の水素メーザー原子時計の周波数を調整することで、光格子時計を基準とした時刻系を生成した。この時刻系は230日間、当時の国際的な時刻の標準、協定世界時(UTC)との時刻差±1ns以内という世界最高水準の同期精度を達成できた。今回の成果で秒の再定義に向けた検討の加速が期待される。