レーザー光利用で効率10倍で花粉を地層から分取、高精度年代測定東京大学, 産業技術総合研究所
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東京大学などのグループは、セルソーター(レーザー光で性質の異なる細胞を抽出)で地層からの効率的な花粉抽出技術を開発、従来よりも詳細な放射性炭素(14C)年代測定を実現した。
ある地層の時代を明らかにする技術である14C年代測定、目的の地層から年代測定に適した大型の試料が見つかる場合はまれである。一方、花粉はほとんどの地層に含有、地層の年代決定で有効な試料と考えられる。しかし従来法では、抽出できる花粉の粒径が極微細で、地層(砂泥堆積物)から十分な量の花粉を分離抽出するには、大量の地層試料を長時間で処理するなどの課題があった。
今回、従来に比べ直径が倍以上の大きな花粉に対して適用できる技術を開発した。試料処理効率化の達成とともに、ボーリング試料などからも、年代測定に十分な量の花粉が抽出できた。また、本栖湖で掘削の堆積物で検証、高精度な測定が可能なことが明らかとなった。今回の成果は14C年代測定の高精度化により、古気候・古環境研究だけでなく断層活動履歴や火山の噴火年代など、過去の自然災害研究への寄与も期待される。