固液界面の3次元構造変化を観察できる 高速3次元走査型力顕微鏡を開発!金沢大学,アールト大学,科学技術振興機構
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金沢大学などのグループは,従来の10 倍以上の速度で固液界面構造を3次元かつサブナノスケール分解能で観察できる高速3次元走査型力顕微鏡(高速3D-SFM)を開発,水中で溶ける方解石(カルサイト)の表面とともに変化する界面の水の構造をサブナノスケールの観察に成功した。
固液界面は自然界の至る所に存在し,その界面の水は生物学から地球科学に至るまで重要な役割を果たす。例えば,地球科学では,鉱物の結晶成長・溶解過程に深く関与する。このような現象の機構を原子・分子スケールで理解するためには,その界面の水の振る舞いを明らかにすることが望まれるが,従来は直接観察できる計測技術がなかった。
今回開発した高速3D-SFMでカルサイトが水中で溶ける様子を観察し,溶解過程の中間状態として単分子ステップに沿って形成される遷移領域上の水を捉えることに成功した。さらにこの水の構造によって,遷移領域が安定的に形成されるメカニズムを明らかにした。この高速3D-SFM は,カルサイト以外の鉱物,有機分子,生体分子の結晶成長・溶解,自己組織化,金属腐食や触媒反応といった固液界面現象に影響を与える界面の水の構造や振る舞いの観察を可能とする。