OplusE 2013年3月号(第400号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
鉄道とひかり
- ■期待高まる鉄道ビジネス
- O plus E 編集部
- ■光学技術を用いた架線検測装置
- 鉄道総合技術研究所 小山達弥,根津一嘉,早坂高雅
- ■トンネル覆工面検査のための高精度画像処理手法
- 鉄道総合技術研究所 鵜飼正人
- ■鉄道における移動体通信技術の概要と光技術・ブロードバンド通信技術の活用に関する動向
- 鉄道総合技術研究所 川崎邦弘
- ■鉄道車両用LED照明システム
- 日立製作所 石井功,岩村重典
- ■LED・有機EL照明による駅舎のエコ化 ―スマートモデル自由が丘駅 あかりプロジェクト―
- 東京急行電鉄*,パナソニック**,阿部穂嵩*,森司**
- ■撮り鉄からPENTAX645までの道
- 元ペンタックス,鉄道写真家 庄野鉄司
- ■鉄道写真とひかり
- レイル・フォトグラファー 遠藤真人
- ■鉄道車両の窓ガラスのUVカット
- 映像技術史研究家 鏡惟史
特別企画 国際画像機器展2012 特別招待講演レビュー
- ■注射の悩み,解決します:近赤外蛍光インプラントの開発とその可能性
- 高知大学 先端医療学推進センター 佐藤 隆幸
連載
- ■【一枚の写真】高分子ゲルによるソフトな波長可変レーザー
- 物質・材料研究機構*,科学技術振興機構**,筑波大学大学院***,古海 誓一*,**,***
- ■【私の発言】山場を越えたら,あとは丁寧に
- ニコン 取締役兼常務執行役員 大木 裕史
- ■【第10・光の鉛筆】15 非点光線束の追跡8 プンクタールめがねレンズの登場
- 鶴田 匡夫
- ■【波動光学の風景】92 94.デバイポテンシャル
- 東芝 本宮 佳典
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】【特別企画】新連載 光エレクトロニクスの玉手箱 著者対談「連載の目指すところ」
- 伊賀健一×波多腰玄一
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第1章 光エレクトロニクスと元素 ※通巻400号特別記念付録「光エレクトロニクスの周期表」
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■【コンピュータイメージフロンティア VFX 映画時評】
- Dr.SPIDER
- ■【研究所シリーズ】産業技術総合研究所 調光ミラーの実用化への取り組み サステナブルマテリアル研究部門 環境応答機能薄膜研究グルー
- 山田 保誠
- ■【ホビーハウス】「懐かしい未来デザイン」の光学機器
- 映像技術史研究家 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
鉄道とひかりOplusE編集部
今回の特集は私たちの生活になじみの深い鉄道を取り上げた。意外にも通巻400号を迎える本誌で,鉄道単独の特集は初めてである。鉄道に関するニュースは毎日事欠かない。最近ではエネルギー問題に関連して注目度が高まっているように感じられる。その中で日本国内中心だった鉄道が世界を視野に入れた産業として認識されてきたことが注目される。台湾への新幹線システムの輸出や鉄道発祥の地であるイギリスでの車両受注など,当事者でなくても何か誇らしい気分になるニュースの記憶が新しい。
ご存じの通り日本の“ものづくり”産業は家電に見られるように新興国の追い上げが激しい。もはやハードウエアだけでは戦えず,それに付加価値をつけたソリューションビジネスへの転換が迫られている。鉄道事業はインフラや車両などのハード面だけでは成り立たず,それを運用する技術が不可欠である。その意味で日本の鉄道は100 年間かけて培ってきたソリューションビジネスの代表格とも言える。そんな鉄道に“ひかり”技術がどうかかわっているのかを第一線の研究者,技術者,関係者の方々に解説していただく。
鉄道の大きな柱は巨大なインフラである。くまなく張り巡らされた線路やトンネル・橋脚,各地の駅舎をはじめ,運行に欠かせないエネルギー供給のための自前の発電所まである。
これらの鉄道インフラは当然メンテナンスが必要で,その規模から考えてかなりの手間がかかることとなる。長距離にわたり通常の運行の合間を縫って効率良く作業することが求められ,長年のノウハウが物を言う。これなど冒頭に述べたソリューションビジネスの一端とも言えるものである。
はじめの2 編はそのようなインフラの検査についての解説である。今回は光学技術に絞って解説していただいた。画像処理をはじめ波長変換などの光学技術が鉄道独特の状況にうまく適用されていることが分かる。これらの検査・メンテナンスは当然,安全のために行われるものである。おりしも昨年,高速道路のトンネル崩落事故でその重要性が社会一般にあらためて認識されることとなった。
次の1 編は通信についての解説である。今でこそ携帯電話などの“移動体通信”が社会インフラの中で重要な地位を占めているが,鉄道の通信は50 年も前からの“元祖移動体通信”とも言える。その概要と光学技術の活用について解説していただいた。
鉄道が注目されている点の1つはエネルギー問題に関連したことであると冒頭に述べた。もともと鉄道は他の交通機関に比べて1 人当たり,あるいは単位重量当たりの輸送エネルギーが少ないことはよく知られている。さらにその結果としてCO2(二酸化炭素)排出量の削減に対しても有利であり,環境問題でもよく引き合いに出される。にもかかわらず,地震後の電力不足を経験した今となってはさらなる省エネルギーが求められるようになった。次の2 編はその省エネルギーについてLEDを中心とした車両と駅構内の先進的な取り組みについて解説していただいた。省エネのみならず長期間メンテナンスフリーや色調変化など今後に期待の持てる内容である。後半の3 編は“鉄道を楽しむ”観点からの記事である。日本では趣味で楽しむ“鉄道人口”は200 万人と言われている1)。
駅で時折カメラを持った熱心な姿を見かけることもあり,鉄道ファンとカメラとの縁が深いことがうかがえる。カメラ設計者に鉄道とカメラのつながり,さらにプロの写真家に鉄道写真の撮り方の極意を書いていただいた。これら3 編は光学専門誌ならではの内容である。最後の1編は鉄道ファンでも珍しい「刻印マニア」から見た車両のUVカットガラスの記事である。
冒頭に述べたように日本の鉄道は輸出産業として今後,期待の星である。100 年を超える技術の蓄積がありそれを国内だけにとどめておくのはもったいない。日本の得意なものづくりと省エネ技術をばねに長年培ったソリューション技術を加えて世界に羽ばたいてほしい。
参考文献
- http://www.nikkei.com/article/DGXDZO09866310V20C10A6W02101/
広告索引
- (株)インフラレッド400-008
- エドモンド・オプティクス・ジャパン(株)400-997(表3対向)
- FITリーディンテックス(株)400-009
- オーシャンフォトニクス(株)400-002(表2)
- オーテックス(株)400-999(表4)
- (株)オハラ400-015
- (株)オプトサイエンス400-013
- (株)システムズエンジニアリング400-007
- セラテックジャパン(株)400-014
- (株)東京インスツルメンツ400-003(表2対向)
- ネオアーク(株)400-011
- フルウチ化学(株)400-010
- 三鷹光器(株)400-012
- リード エグジビジョン ジャパン(株)400-016