OplusE 2014年6月号(第415号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
可視域コヒーレント光源開発と動画表示の最前線
- ■特集にあたって
- OplusE編集部
- ■総論
- 大阪大学*,宇都宮大学**,山本 和久*,黒田 和男**
- ■青色および緑色GaN 系半導体レーザー
- 日亜化学工業 三好 隆,長濱 慎一
- ■レーザーを用いた車載ヘッドアップディスプレイ
- パイオニア 靱矢 修己
- ■高輝度レーザー光源のレーザーシネマ応用
- ウシオ電機*,Necsel Intellectual Properties Inc.**,畑中 秀和*,Gregory T. Niven**
- ■青色レーザーを用いたプロジェクター用蛍光体光源の開発
- カシオ計算機 小椋 直嗣
- ■レーザー画像表示とスペックル
- 宇都宮大学 黒田 和男
連載
- ■【私の発言】日本の光学産業が沈黙した羊の群れのように見える
- 矢部 輝
- ■【第10・光の鉛筆】30 水島三一郎とラマン分光器 2
- 鶴田 匡夫
- ■【波動光学の風景】第107回 109.ガウス型の光ビーム
- 東芝 本宮 佳典
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第16章 半導体レーザーの活躍(その2)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■【4k映像システム開発の歴史と展望】11章 教育・医療・法務への応用
- 小野 定康
- ■【コンピュータイメージフロンティア VFX 映画時評】
- Dr.SPIDER
- ■【ホビーハウス】ステレオ写真の本(第100 回)3D 絵本における半透明と光沢の表現
- 映像技術史研究家 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
特集にあたってOplusE編集部
本誌は光学,レーザーを中心に扱う月刊誌である。レーザーが発明されたのが,1960年。最初はHe-Ne気体レーザー,次いでルビー固体レーザーが発振するに至った。翌年には半導体レーザーが発振し,非線形光学結晶を用い,ルビー・レーザーの波長を半分にする光第2高調波発生(Optical Second-Harmonic Generation,以降SHGと省略)にも成功した。非線形光学という分野はこのころから始まった。
通常光源に比べて格段に指向性,単色性したがって高輝度性,可干渉性に優れるレーザーの応用範囲は次第に拡がっていく。分光学では単色性は有用であり,現在では非線形分光学などの発展と相まって化学反応の制御などにも利用されるようになっている。実験データの積み重ねおよび1980 年代に入り急速に発展した計算機科学の寄与もあり,分子内の原子の配置,エネルギー構造まで予測できるようになってきている。量子力学は量子化学の分野で最も活用されていると言えるほどである。一方,物理学的には,早くから着目されたのが高輝度性に基づくレーザー核融合であるが,プラズマ核融合と共に実験炉さえできていない。現状は小同人の不勉強のためわからない。また工学的には,可干渉性を利用するホログラフィーも何か有用なことに利用できるのではないかと期待されてきたが,単なる立体画像表示に終わっている。10 年とも11 年とも言われる活用期待の周期で見ると,レーザー発明以来6 度目の周期に入った現在,ホログラフィック・メモリーは大容量メモリーとして研究が行われているところである。その他,バーコード・リーダー,レーザー加工,光造形などでは実用的な成果が得られている。
以上述べたように,基礎科学,工学の分野においては,様々な分野で専門の人たちに用いられているのがレーザーであることは確かである。しかしながら,一般の人々が「目」にし,恩恵を受ける,いわゆる民生用としてレーザーが利活用されているとは言い難い。本特集号では,「目」に見える,可視レーザー光源を用いた民生用として出番を待つ製品のいくつかを紹介する。
最初の「総論」は大阪大学光科学センターの山本氏,宇都宮大学オプティクス教育研究センターの黒田氏に執筆いただいた。
2番目に,「青色および緑色GaN系半導体レーザー」について解説していただいた。著者は日亜化学工業(株)の三好,長濱の両氏である。日亜化学工業は世界に先駆けて,青色半導体レーザーを作り出した企業である。緑色レーザーも半導体レーザーから得られることになったのである。
3番目に,おそらく一般の人々が最も頻繁に目にすることになると予想される「レーザーを用いた車載ヘッドアップディスプレイ」は,パイオニア(株)の靭矢氏に執筆をお願いした。パイオニアは有機ELを用いた車載表示素子を開発した経緯をもっている。
4,5番目は「高輝度レーザー光源のレーザーシネマ応用」,「青色レーザーを用いたプロジェクター用蛍光体光源の開発」である。前者はウシオ電機(株)の畑中氏,後者はカシオ計算機(株)の小椋氏に執筆いただいた。共にプロジェクターに関する話題であり,家庭のテレビもこれらの方式が使われるようになる日が来よう。いずれも緑色レーザーは使われておらず,前者では緑色発光には蛍光体,後者では1064nm 発振のNd:YAGレーザーのSHGが用いられている。用途にもよるが,やはり緑色半導体レーザーに取って代わられるかもしれない。
蛍光体発光を除いて,コヒーレント光源を直接あるいはその反射光を「目」にすることになると,スペックルとよばれるチラツキ,スペックルノイズが問題となる。その低減方法を示したのが最後の「レーザー画像表示とスペックル」である。宇都宮大学オプティクス教育研究センターの黒田氏のアイデアである。
各項目をぜひお読みいただきたい。レーザーの発明以来半世紀を経て遠からず,「目」に見えるレーザーが家庭にも登場することになることを実感いただけると思う次第である。
広告索引
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- (株)インデコ415-009
- オーシャンフォトニクス(株)415-002
- オーシャンフォトニクス(株)415-003
- (株)オーテックス415-013
- (株)オプセル415-016
- (株)オプトサイエンス415-017
- カンタムエレクトロニクス(株)415-015
- コーンズテクノロジー(株)415-010
- コーンズテクノロジー(株)415-011
- (株)システムズエンジニアリング415-012
- (株)東京インスツルメンツ415-008
- (株)日本レーザー415-999
- (株)日本レーザー415-007
- ネオアーク(株)415-014