画像センシングの最前線

画像センシングによる検査をサポートする反射特性計測の技術動向オムロン(株) 諏訪 正樹

1. はじめに

 工業製品の検査は、生産効率化や安定品質供給において不可欠な工程であり、これに省力化・省人化の付加価値を加えるべく、画像・光学センサを活用した検査の自動化が進められている。
 キズや汚れなどの欠陥検査を例にとると、画像処理による検査において重要なのは、画像処理の入力系であるセンサ(カメラ)の輝度やカラー情報から欠陥(あるいは逆に欠陥以外)を際立たせる何らかの特徴を定義することである。しかしながら、ここでいう「キズや汚れ」は物理的に定義できる場合も多く、本来はカメラの輝度やカラーではなく、検査対象の材質やかたちなどの物理量にもとづいて定義されるべきである。またカメラの輝度・カラー情報には①(検査の目的ごとに個別設計された)照明・光源情報②検査対象の材質やかたちの情報③カメラの特性が混在しており、アプリケーションの技術課題がこれら3要素の分離困難性に起因するものも少なくはない。そこで本稿では②を直接抽出する方法を取り上げる。ただし、かたちの情報抽出は「3D計測技術」として、これまでに数多くの議論がなされていることから1-2、②の中でも材質、とりわけ「検査対象の反射特性」に着目し、画像センサを用いて対象の反射特性を定量化・計測する手法について解説する。<次ページへ続く>

参考文献

  1. 吉澤徹 編著,“最新 光三次元計測,”朝倉書店,2006.
  2. 井口征士,佐藤宏介,“三次元画像計測,”昭晃堂,1990.

オムロン(株) 諏訪 正樹

1997年3月 立命館大学 理工学研究科 博士後期課程修了
1997年4月 オムロン(株) 入社
2008年4月 オムロン(株) 技術本部コアテクノロジーセンタ 技術専門職
2010年4月 立命館大学 理工学研究科 客員教授 兼任
        奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 客員教授 兼任
2013年4月 九州工業大学 生命工学研究科 客員教授 兼任
現在に至る

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