塗布型白色リン光タンデム有機EL素子の開発に成功科学技術振興機構,山形大学
これまで,有機EL素子に用いられるリン光発光層は,発光効率は高いが塗布溶媒に溶けやすいため,塗布印刷プロセスにおいて複数のEL素子を塗り重ねるタンデム構造への応用が困難であった。今回,低分子リン光発光層に高分子バインダーを少量添加し,上層の塗布溶媒を適切に選定することで耐溶媒性の向上を実現した。さらに,中間電極の導電性高分子材料を中性化することで,耐酸性の低い酸化亜鉛ナノ粒子との積層構造を可能にし,タンデム構造を実現した。発光スペクトルおよび駆動電圧は各ELユニットの足し合わせを示し,外部量子効率28%・電流効率69 cd/Aの塗布型白色素子における高い効率を達成した。
今後,素子の高性能化に向けた材料および素子開発がより一層加速されることが期待される。