OplusE 2015年11月号(第432号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
プロフェッショナルアーカイブにおけるストレージの将来
- ■特集にあたって
- O plus E 編集部
- ■データセンターにおけるコールドストレージの概要
- 日立製作所 柴山 司
- ■NHKアーカイブスにおけるストレージシステム
- NHK 吉岡 秀樹
- ■半導体メモリの将来展望
- 東芝 助川 博
- ■テープアーカイブの現状と将来展望
- 富士フイルム 武者 敦史,清水 治
- ■光ディスクアーカイブの将来展望
- 東京大学 志村 努
特別企画
- ■画像センシング展2015 誰にでもわかる「特別講演」レビュー
- 名古屋大学 森 健策
連載
- ■【一枚の写真】日米の太陽観測衛星が捉えた太陽コロナ加熱メカニズムの観測的証拠
- 名古屋大学 岡本 丈典
- ■【私の発言】基礎を把握し,試験をきっちりやり不具合を完璧に解決すれば,必ずうまくいく
- 宇宙科学研究所 所長 常田 佐久
- ■【干渉計を辿る】第1章 白色干渉計を用いたレンズ厚測定 1.1 白色干渉計によるレンズ厚測定法
- 市原 裕
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第33章 光ファイバー:光で紡ぐ世界(その4)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■【コンピュータイメージフロンティア】
- Dr.SPIDER
- ■【ホビーハウス】ルーペ/拡大鏡/リネンテスター
- 映像技術史研究家 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
特集にあたってO plus E 編集部
今,コールドストレージがホットだ
「もはや光ディスクの時代は終わった。」「今更なぜ光ディスクなの?」という声を最近よく聞く。確かにわれわれの身近の光ディスクは,徐々に減りつつあるように思う。光ディスクドライブ非搭載のノートパソコンはだいぶ増えてきた。そもそも最近はやりの薄型軽量機には,とても光ドライブが入る物理的余地はない。音楽はCDからネット配信に移行しつつある。30年ほど前,この世からLPレコードを駆逐したCDも,今度は自らが駆逐されそうな危機を迎えている。動画配信メディアとしてはBlu-ray Disk(BD)がしばらくは使われると思われるが,DVD程度の容量ならネットでのダウンロードもさほどストレスなく行えるようになってきた。8K動画が普及してくるころにネットの通信速度がどこまで速くなっているかで,配信メディアとしてのBDが生き延びられるかどうかが決まるような気もするが,新たなライバルとしてSDカード等の半導体メモリーの大容量化,低下価格化も進むだろう。個人間のデータのやり取りも,クラウド経由という新しい方法の使い勝手がどんどん良くなっている。
しかし昨今,実はあまり一般の人の目に触れにくいところで,光ディスクの特性が生かされそうな分野が生まれつつある。それがコールドストレージである。上述のクラウドサービスの発達,Google等の情報検索サービス,ツイッターやFacebookに代表されるようなSocial Networking Service(SNS),これらを含んだbig dataの活用などで,プロフェッショナルなストレージシステムに要求されるデータ容量は爆発的に増大しつつある。その結果,データセンターなどでは消費電力の増大が深刻な問題になりつつある。もちろんコストも重要な問題ではあるが,いずれ,いくらお金を積んでも電力供給量が間に合わない,という事態が来るのかもしれない。化石燃料資源の枯渇も問題だ。
そこで,保存データのうちアクセス頻度の低いものは少々使い勝手が悪くても,消費電力の小さい媒体に保存しておこうという発想が出てくるのは当然である。それがコールドストレージである。解説記事中にも出てくるが,データはそのアクセス頻度によって適した保存形態が異なると考えられているが,将来的にはほとんどアクセスされない,もしかすると2度とアクセスされない,だが捨てられない,という種類のデータは全世界のデータの80%以上ではないかと考えられており,これらがコールドストレージが扱う中心対象である。
したがってコールドストレージはある程度アクセスが遅くても電力消費が抑えられる媒体が選ばれるはずだ。そこで現存する記録媒体,記録方法のうちどれが最も適しているのかを,それぞれの媒体の立場から解説してもらおうというのが今回の企画の趣旨である。
まずは「データセンターにおけるコールドストレージの概要」と題して「コールドストレージとは何であるか」の解説を日立製作所の柴山司さんにお願いした。
ついで,大規模ストレージセンターの例としてNHKアーカイブスを取り上げ,その要求仕様についてNHKの吉岡秀樹さんにご紹介いただいた。
そのあとの3件がいよいよ個別のシステムについての解説である。
SSDに関しては,主に最もユーザーに近い部分のオンラインメモリーとして使われるケースが多いと思われるが,その最近の進展は目覚ましく,アーカイブ用途に使われる可能性はあるのか,という点に興味がある。これは東芝の助川博さんに解説頂いた。
テープアーカイブについて富士フイルムの武者敦史さん,清水治さんに解説頂いた。磁気テープは,現状のオフラインアーカイブの主流であり,今後もアーカイブにおける主役の座は盤石なのか,今後の技術展開はどうなるのか,などが注目される。
光ディスクについては東京大学の志村努さんに解説頂いたが,昨年のFacebookの発表,ソニーとパナソニックの共同発表など,動きが活発化している。本当のところ,光ディスクはコールドストレージとしてメリットはあるのか,今後の伸びしろはあるのか,などに注目したい。
広告索引
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