OplusE 2015年12月号(第433号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
ウェアラブル機器-ディスプレイを中心に
- ■特集にあたって
- O plus E 編集部
- ■ニュース記事にみるウェアラブル機器開発メーカーの動向
- O plus E編集部
- ■ライトフィールドディスプレイの基礎とそのウェアラブル応用の可能性
- 法政大学 小池 崇文
- ■ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)光学系の技術史-技術情報コレクターの視点から
- 映像技術史研究家 鏡 惟史
- ■最新ウェアラブル機器の紹介
- O plus E 編集部
- ■Apple Watch使用雑感
- O plus E 編集同人 arb4
連載
- ■【一枚の写真】レーザー振動計測と三次元画像計測を落石の危険度評価に応用
- 鉄道総合技術研究所 上半 文昭
- ■【私の発言】絶え間ない努力をして本当に自分がやりたいことをやり続ける
- メキシコ光学会(AMO)会長 CIO(光学研究所)教授 Dr. アマリア・マルチネス・グラーシア
- ■【第11・光の鉛筆】1 ニュートンの色彩論
- 鶴田 匡夫
- ■【波動光学の風景115】117. 結晶系
- 東芝リサーチ・コンサルティング 本宮 佳典
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第34章 光ファイバー:光で紡ぐ世界(その5)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■コンピュータイメージフロンティア
- Dr.SPIDER
- ■【ホビーハウス】酒瓶が並ぶ棚から-拡大表示の光学系
- 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
特集にあたってO plus E 編集部
ウェアラブル機器-ディスプレイを中心に
最近VRのディスプレイの一つとして,装着したまま自由に動いたり,動作することができるウェアラブル・ディスプレイやHMD(head mount(ed)display)が発表あるいは販売され始めている。また,ウェアラブル機器は,バイタル(vital:生命維持に重要な)のためのセンサー機器としても有望視されている。例えば心拍数を測定するセンサー機能などを備えた高機能な次世代衣料「スマートウエア」の開発が進められている。(東レ(株)は,NTTと共同開発した電気を通す特殊素材「hitoe」を使った機能性肌着の実験をこの7月から始めた。)ウェアラブル機器の市場がいよいよ立ち上がってきた。日本国内の市場規模(販売台数)は2014年度の78万台に対して2015年度は2倍近い134万台に達し,2020年にかけて年率30%ないし40%の伸びが見込まれるとの見通しもあり,そうした市場の拡大を見越してさまざまな機器が登場している。
これらの動きに対応して,昨年からウェアラブルExpoと呼ばれる展示会も開催された。第2回は,2016年1月13日(水)より3日間,東京ビッグサイトで開かれる予定である。米google社がセキュリティー面での課題などを理由に,メガネ型端末「Google glass」の一般販売を中止するなど,民生用のメガネ型端末は普及が鈍化しているが,その一方で,国内メーカーは業務用のものに活路を見出し,相次いで商品を発売している。2015年9月7日~8日に開催された「Wearable TECH EXPO in Tokyo 2015」でそうした様子が垣間見えた。
ウェアラブル機器の表示に使われる“マイクロディスプレイ”は,プロジェクターの拡大表示ディスプレイシステムに用いられる高密度,高解像度表示デバイスであり,対角線サイズはハーフインチ程度である。マイクロディスプレイは数10年前から市場にあり,技術やアプリケーションに関しては進化してきている。LCD技術は通常市場で最も広範に使用されるマイクロディスプレイ技術だったが,その後LCoS,DLP,OLED技術が登場し,そのこともウェアラブル機器の開発を加速している。
一方,数年前から,ウェアラブルビデオカメラが売れている。GoProという商品名である。いろいろな種類があり,また付属品として,1:腕につける,2:頭につける,3:体につける,4:ペット(の体)につける,などがあり,多様に使える。またソニーからはアクションカムが,パナソニックからはオレンジとして売られている。
またスマートフォンをハンドフリーで使うために,ウェアラブル・ディスプレイを使うという動きもある。スマートグラス,スマートウォッチなどと呼ばれ,OSはAndroid Wearである。2015年4月24日に“Apple Watch”が新発売された。
このような動きに対応して,本誌と関連が深いディスプレイを中心にウェアラブル機器の特集を組むことにした。
ウェアラブル機器およびウェアラブル・ディスプレイは次のように分類される。
1:機器の装着形態ハードによる分類
1:腕時計型あるいはアームリング型
2:メガネ型
1: メガネにアタッチする型:基本的にシースルー型
2:片目に表示・観察
3:両目に表示・観察
3:ゴーグル型:いわゆるHMDと呼ばれる。外界は見えないものが多い(Oculus Rift(オキュラス・リフト)など)
2:使う目的による分類
1:ゲーム:妖怪ウォッチなど
2:(作業のために)両手を自由に使うため(AR,MR)
3:仮想空間を見るため
4:プライベートTV(ホームシアターのかわり)
5:その他
そのうち,メガネ型の1.2.1および1.2.2の光学系としては,「瞳分割方式」と呼ばれる方式が多く採用されている。そのための特殊光学素子として,ホログラムを使うものもある。これらについては,映像技術史研究家の鏡 惟史氏による本特集号の記事「ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)光学系の技術史-技術情報コレクターの視点から」を参照いただきたい。
瞳分割方式の一種と考えられるレーザスキャン網膜ディスプレイについては,小池崇文氏(法政大学)に「ライトフィールドディスプレイの基礎とそのウェアラブル応用の可能性」と題した記事で解説をお願いした。
個々のメーカーの製品について,開発当事者に執筆をお願いしたが,多忙その他の理由で,断られてしまった。仕方なくニュースリリースを含むいろいろな資料を参考にして,「ウェアラブル機器開発メーカーのニュース記事一覧」および「最新ウェアラブル機器の紹介」として本誌編集部でまとめた。
またApple Watchを実際に使った感想を,本誌の編集同人であるarb4氏に書いていただいた。
最後に,ディスプレイ関連の国際会議「21th International Display Workshops(IDW ʼ14)」の基調講演で,米国Qualcomm MEMS Technologies社のJohn Hong氏は,“Display Technologies in Mobile Applications”と題して,同社が考えるウェアラブル用途に適したディスプレイ技術を紹介した。同社が考えるウェアラブル用ディスプレイの必要条件は“Always On”と“Always Viewable”の2つ。前者のAlways Onは,しょっちゅう電源をオンにしていても電池が十分に持つこと。後者のAlways Viewableは,どんな場面でも,例えば屋外でも屋内でもきれいな映像が見られること,としていることを付け加えておく。
広告索引
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