OplusE 2016年4月号(第437号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
赤外線イメージング
- ■特集にあたって
- O plus E 編集部
- ■総論
- 立命館大学 木股 雅章
- ■赤外線サーマルカメラの交通分野への適合について
- フリアーシステムズジャパン 武井 世志人
- ■InGaAs近赤外線カメラ,CMOS近赤外線カメラのご紹介
- アートレイ 今井 信司
- ■赤外線レンズ用MTF測定装置YY-300シリーズ
- ユーカリ光学研究所 油 大作,油 鉄一郎
- ■赤外線光学系の光学測定ソリューション
- トライオプティクス・ジャパン 大矢 尚司
特別企画
- ■国際画像機器展2015 特別招待講演
- 産業技術総合研究所 中坊 嘉宏
連載
- ■【一枚の写真】窒化チタンナノ粒子による太陽光の高効率吸収
- 物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 石井 智,長尾 忠昭
- ■【私の発言】光学は中核になる人間の技術力をどう上げるかが鍵
- ユーカリ光学研究所 代表取締役 油 大作
- ■【第11・光の鉛筆】5 Youngの色彩理論1 自説の展開
- 鶴田 匡夫
- ■【波動光学の風景】第117回 119. 結晶点群
- 東芝リサーチ・コンサルティング 本宮 佳典
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第38章 多彩な役目の微小光学(その4)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■コンピュータイメージフロンティア
- Dr.SPIDER
- ■【ホビーハウス】珍しい構造のカメラ-108円で手に入る多種多様なカメラ
- 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
赤外線カメラは,より正確な視界確保が可能であり,交通分野での活用が進んでいる。写真は可視光線を取得するカメラと赤外線を取得するカメラを隣接設置し,同時刻の映像を比較したものである。赤外線カメラの映像では,より正確な視界確保が可能であることがわかる。(関連記事「赤外線サーマルカメラの交通分野への適合について」フリアーシステムズジャパン 武井 世志人:詳細は321ページ)
特集にあたってO plus E 編集部
赤外線イメージング
1.はじめに近・中・遠-赤外光の呼び方が学術用語と産業界で使われている定義が異なっている。
「赤外線」は,ISOの定義では,次のように定められている。“赤外線とは;赤外線:単色光成分が約780nm~1mmの波長範囲にある放射”,であり,また,通常,(1)近赤外線:0.750nm~3μm,(2)中間赤外線:3μm~50μm,(3)遠赤外線:50μm~1mmの3つに大別されている。日本赤外線学会もこの定義に従っている。 一方,産業界(装置業界)では,(1)近赤外線:780nm~3μm,(2)中間赤外線:3μm~8μm,(3)遠赤外線:8μm~14μm,として使われている(この境界の数値はあまり厳格には使われていない)。本特集では,業界での呼び方を採用することにする。
2.いろいろな分野で利用が広がる赤外線イメージ
暗い所で人を感知する(遠)赤外線カメラが,セキュリティー分野や事故回避のための車載カメラとして使われ始めている。また近赤外線を使った車載用NIR-Lidar(Near-Infra-Red Light-detection and ranging)の実用化のための開発もおこなわれつつある。
近赤外光(波長:780nm~3μm)は,半導体の基板として大量に使われているシリコンウェハを透過するため,シリコン基板や半導体デバイスの検査用として広く使われている。最近では太陽光発電用PV(Photo-Voltaic)パネルの検査にも使われ始めている。また,人の皮膚など生体透過性があるため,各種診断や血管による生体認証にも使われつつある。車載Lidarもここに含まれる。
中赤外光(波長:3μm~8μm)は,赤外線吸収特性を利用した物質の特定や,非接触での比較的高温の温度分布の計測に使われている。
遠赤外光(波長:8μm~14μm)の領域は,温度分布をイメージとしてとらえる,いわゆる“サーモグラフィー”である。人間の体温より発する黒体輻射のピーク波長域(10μm)に対応するため,暗闇での人の映像取得に使われている。この領域は10年程前までは,需要は軍事用に限られていたため,高価格であったが,低価格化の製品が販売されるようになり,最近では車載も含めたセキュリティー用に使われ始めている。以前はこの波長域のイメージセンサーとしては冷却する必要があったが,最近では非冷却のイメージセンサーが使われるようになりその扱い方もシンプルになりつつある。産業用としても高画素化が急激に進んでいる。
このように,近年,この赤外線分野のイメージングの研究開発および製品発表が盛んになっている。産業用映像関連展示会でも多く発表展示されるようになっている。そこで,本号では,この赤外線領域でのイメージング特集を組むことにした。高画素化が進むと,それぞれの波長域での結像レンズの性能も重要になる。可視光域で使われるガラスは,特に中・遠赤外線は通さないため,レンズ材料としては,ゲルマニウムなど,ガラスとは別の材料が使われる。これらの材料は,ZnSeなどを除き,可視光を通さないため,赤外線結像レンズの性能の計測もやっかいである。
本特集では,まず総論として,主に遠赤外線領域での非冷却イメージセンサーとそのアプリケーション,近赤外線領域のセンサーについて,近年この分野が産業的に立ち上がりつつある背景を含めて技術的な進歩について,立命館大学の木股雅章先生に紹介してもらった。
次に,赤外線イメージセンサーの世界的メーカーであるフリアーシステムズ社製品を,フリアーシステムズジャパン株式会社の武井世志人氏に,交通分野への展開を中心に紹介してもらった。
近赤外線カメラ製品販売大手である株式会社アートレイの今井信司氏には,同社のInGaAs近赤外線カメラ,CMOS近赤外線カメラについて,広く紹介してもらった。
さらに,ユーカリ光学研究所の油 大作氏,油 鉄一郎氏には,赤外線イメージ用のレンズの検査装置である,同社の赤外線レンズ用MTF測定装置YY-300シリーズについて紹介してもらった。
最後に,トライオプティクス・ジャパン株式会社の大矢尚司氏に,同社の提供する赤外線光学系の光学測定ソリューションについて紹介してもらった。
広告索引
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- (株)オフィールジャパン437-003
- (株)オプトサイエンス437-009
- (株)オプトロニクス社437-011
- コーンズテクノロジー(株)437-010
- (株)東京インスツルメンツ437-012
- (株)日本レーザー437-999