界面の超高速光化学を観測する手法を開発理化学研究所 研究グループ
電子が生体物質などとどのように反応するかを理解するため,溶媒である水相と物質相との界面で,電子がどのように水和されるかを,これまで種々の分光法によっ て詳しく調べられてきたが,界面で電子がどのような状態で存在しているかは,ほとんど分かっていなかった。
今回の振動スペクトルの解析から,水表面の電子は下側半分が部分的に水和された構造であることが明らかになった。この状態では安定化が不十分なため,電子は約 100ピコ秒の間に,より安定に存在できる水内部に拡散していくことが分かった。この分光法は,水和電子の観測だけでなく,液体界面で進行するさまざまな化学反応の観測に応用できる。今後,界面における化学反応の本質が明らかになることが期待される。