光パルスを用いた金属磁石表面の磁気の波の発生と検出に成功東北大学　研究グループ

　東北大学の研究グループは，金属磁性体表面の磁気の波（スピン波）を光パルスで発生させ，高精度に観測することに成功したと発表した。
　磁性体には特異な磁気の波が存在することが古くから知られているが，近年では，その特異な磁気の波を情報処理や伝達媒体として用いる技術が提案されており，物 理的性質の解明や，磁気の波の発生・制御・検出方法の研究が世界的に行われている。
これまで，フェライトやガーネット等の磁性絶縁体において，光パルスを用いた磁気の波の発生と観察の研究が進められて来たが，金属磁性体ではその明瞭な観察や定 量的な解析の報告がなかった。
　今回の発表では，2つの光パルスを用いた高時間分解・走査型磁気光学顕微鏡を独自に構築し，光パルスによって金属磁性体に磁気の波を発生させることで，ピコ秒の時間スケールで磁気の波が伝播する様子を精密に観測し定量的に解析することを世界に先駆けて達成している。
　今後，磁気の波を用いた将来の低消費電力・高速の情報処理デバイスの開発が期待されている。