セミナーレポート

完全自動運転システムのオープンプラットフォーム化に向けて東京大学大学院情報理工学系研究科 他 加藤 真平

本記事は、画像センシング2016にて開催された誰にでもわかる特別講演を記事化したものになります。

愛知県と共同で公道での自動運転の実証実験を進める

 この2年あまり,名古屋大学で自動運転に関する研究プロジェクトを率いてきました。最近の1年は,愛知県と共同で,公道での自動運転の実証実験を進めています。レーザーセンサーを車の屋根につけ,カメラをフロントガラスにつけて,この2つのセンサーで,現在我々が提供するプラットフォームにより,ここまでの自動運転が可能だということでデモンストレーションとして実験を行っています。
 安全を考え,バスレーンを利用していますが,時速が50~60kmは出ますので,隣のレーンの車をパスしていくようなシナリオも起こります。その時に安全にパスしていくためには,いろいろな精度を上げていくことが必要になります。最初はなかなかうまくいかないところもありましたが,1年間続けた結果,ある程度の自動運転が可能になりました。
 2kmくらいの特定の地域でしたが,自動運転の技術が確立されてきましたので,これからは地域を広げていくということで,愛知県に協力していただいて15市町村で進めていきます。実際に市町村の方々に体験してもらい,フィードバックをいただくというのが次のステージになってきます。幸い警察庁からも自動運転の公道実証実験を進めていくガイドランが出てきましたので,共通の手順に従って実験に臨めるようになり,我々としては非常に助けになっています。
 今回のテーマであるオープンプラットフォームというのは,誰もが使えるということです。長崎大学の先生が我々とまったく同じセンサー,カメラを購入され,同じシステムをダウンロードし,2日~3日で車を仕立て上げ,デモンストレーションを実現しています。我々の場合は2年くらいかかっていますので,かなり時間の節約ができるようになっています。企業でも,ヤマハ発動機と共同で,同じセンサーとカメラの組み合わせにより,バギー車でのオフロードの自動運転を実現しています。このようにオープンプラットフォームを活用し,環境や車,オペレーションする人に依存せず,いろいろなところで実験を広めていき,人口を増やしていきたいというのが我々の狙いです。

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東京大学大学院情報理工学系研究科准教授 名古屋大学未来社会創造機構客員准教授 株式会社ティアフォー 取締役 加藤 真平

2004年慶應義塾大学理工学部卒業。2008年慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了。博士(工学)。2009年から2011年までカーネギーメロン大学,2011年から2012年までカリフォルニア大学にて客員研究員,2012年から2016年まで名古屋大学大学院情報科学研究科の准教授。現在,名古屋大学大学院 情報科学研究科の准教授としてオペレーティングシステムや並列分散システム,サイバーフィジカルシステム等の研究に従事。

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