OplusE 2017年12月号(第457号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
画像認識・AI 技術活用によって進むロボットの実利用
- ■特集にあたって
- 慶應義塾大学 青木 義満
- ■Amazon Robotics Challengeにおける3 次元物体認識技術
- 中京大学*,慶應義塾大学** 橋本 学*,秋月 秀一*, **
- ■Amazon Robotics Challengeにおけるアピアランスベース物体認識技術
- 中部大学 藤吉 弘亘
- ■自動運転のための運転手の状態認識技術
- 中部大学 山下 隆義
- ■卓球ロボットにおける画像センシング技術・AI技術活用
- オムロン 仁科 有貴,諏訪 正樹,川出 雅人
- ■物体表現オントロジーに基づいた対話物体認識
- 埼玉大学 福田 悠人,Cao Lu,久野 義徳
- ■セキュリティ分野における画像センシングとロボット活用の動向
- セコム 渡並 智
連載
- ■【一枚の写真】材料の超高速破壊を原子レベルで可視化
- 大阪大学 尾崎 典雅
- ■【私の発言】うまくいかない時,どうしていいかわからない時には,第三者の意見をよく聞く
- 北海道大学 齊藤 晋聖
- ■【第11・光の鉛筆】23 均等な表色系への道
- 鶴田 匡夫
- ■【波動光学の風景】第127回 129. 屈折率楕円体
- 東芝リサーチ・コンサルティング 本宮 佳典
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第58章 ぞうをとる:撮像(その1)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■コンピュータイメージフロンティア
- Dr.SPIDER
- ■【ホビーハウス】いろいろな距離測定方法の話題
- 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■書評「光ファイバ通信入門 改訂第5版」/O plus E 編集同人
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
セキュリティ分野においても画像センシングの活用が広がっている。有人環境下では「誰が」「何を」しているのかを認識することがセキュリティ確保上の重要課題である。写真のように群衆の画像から,人物の姿勢や行動を推定して過度な混雑やパニック発生,人物の転倒や放置物を自動認識することも可能となっている。(関連記事「セキュリティ分野における画像センシングとロボット活用の動向」セコム 渡並 智:詳細1208ページ)
特集にあたって慶應義塾大学 青木 義満
画像認識・AI技術活用によって進むロボットの実利用
実環境下における様々な状況を把握し,それに基づいて行動することが求められるロボットにおいて,画像や他のセンサー情報を用いた周辺環境・物体認識技術の頑健性及び柔軟性の向上は必須となっている。近年,画像やセンサー情報を活用した機械学習,深層学習の技術的発展は目覚ましく,ロボットの視覚における周辺環境把握において重要な物体認識や環境認識等の課題において,様々な環境下でのロボットビジョン活用が進められている。また,ロボットが最適な行動選択を行うための入り口は,ビジョンによる認識であることが多く,深層学習や強化学習の発展に伴い,この“ビジョン”と“アクション”の連携がより深まりつつある。本特集では,ロボットに活用されている最新の画像センサーやセンシング技術,サービス等に焦点を当て,最新のロボットビジョンに関連する話題を提供する。ロボットビジョン分野の現状を把握するとともに,今後の当該分野の広がりや可能性を感じていただきたい。物流業界におけるロボット,人工知能技術の活用は早い段階から検討が進められているところである。特に米国では,物流における商品管理や搬送など,様々なステージでロボット技術の実用化が進められている。米Amazon社が主催するAmazon Robotics Challengeにおいては,毎年,世界中から集まる研究チームが,ピッキング等の様々なタスクにおいて知能ロボット技術を競い合っている。そこで好成績をおさめてきた中部大学・中京大学・三菱電機の研究チームから,ロボットビジョンにおける画像物体認識技術について,紹介していただく。中京大学の橋本学氏,慶應大学の秋月秀一氏には,三次元形状特徴を用いた物体認識技術について,中部大学の藤吉弘亘氏には,二次元のアピアランスベースの物体認識技術について,それぞれご執筆いただいた。最新の深層学習と緻密に設計された特徴量を組み合わせた高度な物体認識アルゴリズムは,今後の画像物体認識の可能性を示唆する大変興味深いものである。
近年,話題となっているロボットビジョン技術の活用事例の一つに,自動運転がある。画像やレーザーセンサー,電波センサー等を用いながら周囲の状況をリアルタイムで把握し,危険を察知,回避しながら車両の制御を自動で行う技術であり,早期の実用化を目指した研究開発が進められている。車外周辺環境の自動認識技術の必要性は言うまでもないが,近年では,車外のみならず,車室内の運転手をはじめとする乗員の状態を把握する技術の重要性が高まっている。自動運転の実現レベルは様々あるが,特に自動運転レベル3においては,システム側が乗員,特に運転手がどのような状態であるのかを常に把握しながら,必要に応じて運転のイニシアチブを交換する等,柔軟な対応をすることが求められている。このような目的のため, 赤外画像と距離画像の両方を用い,深層学習によって運転者の顔向きと上半身姿勢を同時かつ高精度に推定する技術について,中部大学の山下隆義氏に解説していただいた。生産現場におけるロボットの主たる役割は,人が行う作業を機械によって置き換えることであった。先の自動運転における運転手の状態センシング事例もそうであるが,今後は,ロボットが人の状態や行動を理解・把握し,互いが協調して作業を行うことで,人とロボットの作業工程がシームレスにつながり,生産性向上やコスト削減が期待できると言われている。人とロボットの融和を目指した取り組みとして,オムロン株式会社の仁科有貴氏らに,人とラリーをすることが可能な卓球ロボットとコア技術である画像センシング技術,人工知能によるプレーヤー熟練度推定技術について解説していただいた。
生活現場におけるサービスロボットを実現するためには,依頼された作業に関わる物体を認識する技術が必要となる。実世界の様々な状況で物体を認識する技術は,深層学習の活用により大きく発展したが,失敗する状況が起こり得る。そこで,自動物体認識に失敗した場合には,ユーザーに物体に関する情報を提示してもらって認識を行うという,対話型の物体認識技術が有効である。一般的に自然言語では,物体についての表現と,それの示す物理的な属性が1対1に対応するとは限らない。この関係をオントロジーにまとめ,人間の言語表現を適切に解釈して認識できる枠組みを実現している興味深い研究事例について,埼玉大学の福田悠人氏らにご執筆いただいた。
安心,安全確保のためのロボットビジョン関連技術として,セコム株式会社の渡並智氏には,セキュリティサービス分野における画像センシングシステムとロボット活用の動向について概説していただいた。近年,従来の固定センサー・カメラでのセンシングから,多様な視点からの広域で網羅的なセンシングのニーズが高まっている。そのようなニーズに応えるべく,地上走行型ロボットやウェアラブルカメラ等の地上移動体からのセンシング,ドローン,飛行船等の上空からのセンシングなどに取り組まれている。ここでは,ドローンを含む移動体からのセンシングを中心に,当該分野における今後の展望と課題まで言及していただいている。
以上,本特集では,画像認識を中心とした最先端の人口知能技術が,生産,物流,自動車,セキュリティ分野において開発されているロボットの視覚機能として,現状どのように活用されているか,を俯瞰できる内容となった。今回は,災害現場でのレスキューロボットやインフラ維持管理のためのロボット等,今回は取り上げることができなかったが,今後注目すべき分野である。
広告索引
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