光ディスクを用いた水中微生物の高速イメージング検出産業技術総合研究所 島 隆之,藤巻 真
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光ディスクは,映像や音楽などの各種データを保存するために用いられる安価で頒布可能な情報記録媒体である。情報の書き換えが可能なタイプでは,ディスク基板上に作られた溝をガイドに,レーザー光が溝に沿って走査し,溝上の未記録部と記録部の反射率の違いから,0と1の情報を順に読み出している。この成熟した光技術を高いニーズがある別の分野に応用できないか検討したところ,バクテリアなどの微生物を検出する用途に思い当たった。溝が表面にあるディスク基板上に,反射率調整用の薄膜を成膜して光ディスク試料を作製し,試料上の微生物を記録部に見立てて測定することとした。結果を画像として得るため,従来のディスク基板に対して次のような工夫を行った。
物理的な凹凸(マーカー)が溝上にあり,それが半径方向に並ぶディスク基板を新たに準備した(図1)。この基板を用いて作製した光ディスク試料では,レーザー光を溝走査させると,試料上の微生物とマーカーの両方から反射光信号を取得できる。渦巻き状になった溝の間隔は400 nm,レーザー光波長は405 nmである。試料を回転させるため,走査速度は5 m/sと高速である。反射光信号を信号処理装置に送り,マーカー位置が半径方向に並んでいることを基準に信号を並べると,例えば,図1の破線枠部分について,微生物の反射光像を得ることができる。この方法は,レーザー走査顕微鏡で行われているイメージングの仕組みを光ディスクで実現したと考えれば,わかりやすい。
純水に大腸菌を懸濁させた試験液を,光ディスク試料上に滴下した後に乾燥させた。この試料のイメージングを行ったところ,やや細長い形状をした大腸菌が,試料上で分散している様子が観察された(図2)。図縦方向が光ディスク試料の半径方向,図横方向が試料の回転方向である。イメージングに成功したことから,現在は得られた画像からバクテリアを特定する方法の検討を進めている。これまでに,バクテリアへの色素染色を行う前後で透過光像を比較する方法,同じく蛍光染色を行った後に蛍光像を得る方法,でそれぞれ一定の成果を得ている。
物理的な凹凸(マーカー)が溝上にあり,それが半径方向に並ぶディスク基板を新たに準備した(図1)。この基板を用いて作製した光ディスク試料では,レーザー光を溝走査させると,試料上の微生物とマーカーの両方から反射光信号を取得できる。渦巻き状になった溝の間隔は400 nm,レーザー光波長は405 nmである。試料を回転させるため,走査速度は5 m/sと高速である。反射光信号を信号処理装置に送り,マーカー位置が半径方向に並んでいることを基準に信号を並べると,例えば,図1の破線枠部分について,微生物の反射光像を得ることができる。この方法は,レーザー走査顕微鏡で行われているイメージングの仕組みを光ディスクで実現したと考えれば,わかりやすい。
純水に大腸菌を懸濁させた試験液を,光ディスク試料上に滴下した後に乾燥させた。この試料のイメージングを行ったところ,やや細長い形状をした大腸菌が,試料上で分散している様子が観察された(図2)。図縦方向が光ディスク試料の半径方向,図横方向が試料の回転方向である。イメージングに成功したことから,現在は得られた画像からバクテリアを特定する方法の検討を進めている。これまでに,バクテリアへの色素染色を行う前後で透過光像を比較する方法,同じく蛍光染色を行った後に蛍光像を得る方法,でそれぞれ一定の成果を得ている。