繰り返し使える光硬化性接着剤の開発産業技術総合研究所 研究グループ
接着剤にはさまざまな種類が知られているが,特に光硬化性接着剤は,室温で塗布でき,すぐに硬化が可能であるという優れた特長により,エレクトロニクス分野での製造工程や,歯科用接着などで広く利用されている。
しかし,これまでの光硬化性接着剤のほとんどは,元の液体状態には戻らない不可逆な硬化過程を利用したものであったため,易解体性,再作業性がなく,いったん接着した箇所の修復による歩留まり向上やリサイクルの観点から課題があった。
この接着剤は,枝分かれした構造の糖アルコールと,光に応答してお互いに結合する複数のアントラセンを組み合わせた透明な液状物質を用いており,光照射による硬化と加熱による液化を繰り返す。この接着剤の利用で,接着のやり直しや接着後の材料の再利用などが可能になり,新しい複合材料プロセスの実現が期待される。