OplusE 2018年7・8月号(第462号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
赤外線イメージングとセキュリティ-センシングへの応用
- ■特集にあたって
- O plus E編集部
- ■樹脂材料を用いた赤外線レンズ
- ナルックス 北川 清一郎,河合 伸典
- ■可視光と近赤外光を同時に撮像可能な撮像素子
- 東京工業大学*,産業技術総合研究所**,オリンパス技術開発部門***
紋野 雄介*,田中 正行*,**,奥富 正敏*,吉崎 和徳***,福西 宗憲***,小宮 康宏*** - ■プラズモニックメタマテリアルを用いた偏光検知非冷却赤外線センサー
- 三菱電機 小川 新平
- ■車載用赤外線ナイトビジョンカメラ
- ビジョンセンシング 小川 文弘
- ■スナップショット赤外線分光イメージングによるガス検出とその定量化
- 宇都宮大学 ネイザン・ヘーガン
- ■赤外線サーモグラフィの構造物診断への応用と最新のカメラ動向
- 日本アビオニクス 木村 彰一
- ■流れを可視化するための微小温度イメージング
- 宇都宮大学 ネイザン・ヘーガン
- ■超小型中赤外分光イメージング装置の応用展開
- 香川大学 石丸 伊知郎
特別企画
- ■画像センシング展2018 招待講演【ディープラーニング】
- 大阪府立大学 岩村 雅一,山田 良博
- ■画像センシング展2018 誰にでもわかる特別講演【ロボット】
- オムロン 井尻 善久
連載
- ■【一枚の写真】回折格子
- 東京工業大学 松谷 晃宏
- ■【私の発言】1つステップを超えるには大きな目標を一緒になって苦労を分かち合う仲間の存在が重要
- 東京工業大学 科学技術創成研究院 社会情報流通基盤研究センター 教授 大山 永昭
- ■【輿水先生の画像の話-魅力も宿題も-】第4回 顔の画像研究の世界―例えば,『顔の百科事典』などを素材にして―Overviewing The World of FACIAL STUDIES through IMAGE TECHNOLOGY― Stories around the Encyclopedia of FACIAL STUDIES ―
- 中京大学/YYCソリューション 輿水 大和
- ■【光学ゼミナール】第4回 回折理論
- 宇都宮大学 黒田 和男
- ■【波動光学の風景】第131回 133. 一軸結晶による屈折
- 東芝 本宮 佳典
- ■【干渉計を辿る】第8章 回折と干渉(波動光学的結像) 8.1 回折と再回折光学系
- 市原 裕
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第63章 レーザーで探る光センシング
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■【霜田光一に聞く電波と光の最前線開拓】第I章 小学校から中学・高校,大学まで―工作に没頭して成長,戦時下に過ごした学生時代―
- ヒアリンググループ
- ■【研究室探訪】vol. 4 東京工業大学 奥富・田中研究室
- 東京工業大学 奥富・田中研究室
- ■【国立天文台最前線 先端研究を支える人たち】第2回 世界最大級のアルマ望遠鏡の性能を引き出す天文学者
- 荒舩 良孝
- ■【ホビーハウス】ステレオ写真の本 第108 回 表紙に注目! いろいろな本
- 鏡 惟史
- ■【コンピュータイメージフロンティア】『ジュラシック・ワールド/炎の王国』『BLEACH』『インクレディブル・ファミリー』『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』ほか
- Dr.SPIDER
- ■【ホログラフィーアートは世界をめぐる】第4回 ニューヨーク・わんわん物語 ―MOH・A.I.R.プログラム―
- 石井 勢津子
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
写真はガス漏れおよび排出量の定量化を自動的に監視できるスナップショット赤外線分光イメージャによるガス検出画像の例である。赤外吸収をピクセルごとに分光分解する15 Hz以上のビデオレートをもつガスクラウドイメージングカメラは,高NAレンズと低分解能スペクトルそ使用し,スナップショットの利点を利用して補正する。ガスの種類によって吸収スペクトルが異なるので,測る分光でガス分別と警報の誤報を防ぐことができる。(https://www.rebellionphotonics.com/gci-videos.html から引用)(関連記事「スナップショット赤外線分光イメージングによるガス検出とその定量化」宇都宮大学 ネイザン・ヘーガン:詳細は579ページ)
特集にあたってO plus E編集部
赤外線イメージングとセキュリティーセンシングへの応用
赤外線技術は,民生品の代表的であるサーモグラフィ,赤外線分光学,赤外線天文学などを除いてナイトビジョンを中心とする軍事利用が中心であった。そのため,受光素子やレンズなどの光学素子も高価なものが多く,日本ではあまり注目されてこなかった。近年,自動車の自動運転,ガスモニタリング,化学物質センシングなどセキュリティ分野での赤外線利用が注目されている。グローバルインフォメーションの世界市場調査資料によると,赤外線画像関連の市場は,2018年の51億ドルから,2023年には73億ドルの規模に成長すると予測されている。このように,新しいデバイスが学会や展示会で報告され,一方ではさまざまなデバイスの価格が下がって実用化しやすい状況になりつつある。表1に示すように,JlS Z7079(ISO20473)光学およびスペクトル帯域によると,赤外線は,近赤外線(0.78 μm~3 μm),中赤外線(3 μm~5 μm),遠赤外線(5 μm~1000 μm )の3つの領域に分類されている。しかしながらこの分類は学協会によってもまちまちであり,例えば,JlS Z8117遠赤外線用語の項では,中赤外線が2~4 μmと定義されているなど,同じJISのなかでも統一ができていない。一方,赤外線イメージングの視点から,近赤外線 (Near-infrared, NIR), 短波長赤外線 (Shortwavelength infrared, SWIR), 中波長赤外線 (Midwavelength infrared, MWIR), 長波長赤外線 (Longwavelength infrared, LWIR), 遠赤外線 (Far infrared, FIR)と分類することでディテクタの種類と一致させることができる。例えばシリコン・センサー(可視光からNIRカメラ),InGaAsセンサー(SWIR近赤外線カメラ),InSbセンサー(MWIR中赤外線カメラ),マイクロボロメーター(LWIR遠赤外線カメラ)となる。よくサーマルイメージセンサーに使われるLWIRは,熱赤外線(Thermal infrared, TIR)と考えることもできる。 今月の特集は,「赤外線イメージングとセキュリティ-センシングへの応用」と題して,赤外線イメージングに必要なカメラと光学素子からその応用としてのセキュリティイメージング技術に焦点をあてた。近年O plus Eにおける赤外線関連の特集は,毎年のように取り上げられている。2016年4月の「赤外線イメージング」の特集は,イメージセンサーやサーマルカメラを中心に赤外線レンズの評価装置が紹介されている1)。一方,2017年11月の「中赤外レーザーとその応用」の特集では,赤外線光源から赤外線イメージャや血糖測定システムや生体細胞観察システムのような計測への応用技術の紹介がなされている2)。他誌においても,2015年の非冷却型の赤外線センサーの特集がなされているように,赤外線技術は大変注目されている3)。
今回の特集では,新しい赤外線イメージングのためのデバイス技術の紹介からセキュリティのための赤外線可視化応用技術を紹介していただける8名の方々にご執筆をお願いした。
ナルックス株式会社の北川氏,河合氏には,「樹脂材料を用いた赤外線レンズ」と題して,遠赤外を透過する樹脂や反射型によって遠赤外レンズについて解説していただいた。一般に,赤外線レンズはゲルマニウムなど高価な材料が多いが,樹脂で可能になれば価格の点や量産が期待でき,赤外光学系の不興に大きく寄与できるので楽しみである。
東京工業大学,産業技術総合研究所,オリンパス株式会社のグループには,「可視光と近赤外光を同時に撮像可能な撮像素子」と題して,単板の撮影素子の4つのピクセルにRGBと800 nmの近赤外にピークをもつ4つのフィルターを設置して,4画素で1つのカラー画像と近赤外画像同時に撮影できる技術の紹介をお願いした。新しい機能性カメラとして興味深い。
同様な一種の機能性カメラとして,三菱電機株式会社の小川氏には「プラズモニックメタマテリアルを用いた偏光検知非冷却赤外線センサー」と題して,非冷却赤外線センサーにプラズモニックメタマテリアル吸収体でできたマイクロ偏光子アレイを取り付け,赤外線偏光イメージセンサーにする技術の紹介である。昨今,可視光の偏光カメラが注目されているが,赤外でも同様にストークスパラメータが求められる。今後,新しい偏光計測の幅が増えることが期待できる。 デバイスの紹介の次は,セキュリティへの応用として,株式会社ビジョンセンシングの小川氏には「車載用赤外線ナイトビジョンカメラ」と題して,非冷却遠赤外線カメラでキャリブレーションをすることで実用化が可能であるという実例を挙げながらご紹介いただいた。
次に,宇都宮大学のネイザン・ヘーガン氏には,「スナップショット赤外線分光イメージングによるガス検出とその定量化」と題して,開発した1回の検出で赤外線分光イメージングが可能な技術とこれを使ったメタンなどの透明なガスの排出量をリアルタイムで計測する技術をご紹介いただいた。気体分子は特定の周波数の赤外線を吸収するが,この特性を指紋といい,分光計測することで材料の特定も可能である。
日本アビオニクス株式会社の木村氏には,「赤外線サーモグラフィの構造物診断への応用と最新のカメラ動向」の解説をお願いした。欧米では以前から聞かれていたが,日本でも老朽化するインフラ維持管理の重要性が叫ばれ始めている。赤外線サーモグラフィによりコンクリート構造物やビルの外壁検査,特に,外壁の剥離,漏水,断熱不良,結露などを非接触でリアルタイムにできる。赤外線の実用化の代表的な素晴らしい例である。
引き続き,宇都宮大学のネイザン・ヘーガン氏には,「流れを可視化するための微小温度イメージング」と題して,流れによって発生する微小温度変化から流れをイメージングする技術を解説していただいた。mKと微小温度差をとらえることによりトレーサーなしで流れの可視化ができる新しい技術として期待される。
本特集の最後は,香川大学の石丸氏に「超小型中赤外分光イメージング装置の応用展開」と題して,中赤外分光イメージングを健康医療分野では日常生活空間での疾患病態モニタリングとして,スマートトイレや非侵襲血糖値センサー,環境モニタリング分野の土壌の窒素やリンの成分計測,コンクリートの塩害状況評価や海の健康モニターなどの幅広い利用分野をご紹介いただき赤外線イメージングの将来への展望を述べていただいた。今回の9編の記事のまとめとしてふさわしい締めくくりとなった。
今回,赤外線の特集にあたり赤外線分野でご活躍のご多忙な8名の方々にご執筆いただくことができた。最後になったが,皆様のご協力にここに心から感謝申し上げる。
参考文献
1) O plus E,Vol.38, No.4(第437号),特集「赤外線イメージング」(2016)
2) O plus E ,Vol.39, No.11(第456号),特集「今注目される中赤外レーザーとその応用」(2017)
3) オプトロニクス,2015年3月号,特集「非冷却型赤外線イメージセンサとカメラの最新動向」
広告索引
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