微細なメカニカル振動子を用いた核磁気共鳴の制御に成功日本電信電話(株)と産業技術総合研究所 研究グループ
昨今,超高速の演算を可能とする量子コンピューターや,絶対的な安全性が期待される量子情報通信,あるいは超高感度の検出技術を提供する量子センサーなどの量子技術において,量子メモリの重要性が注目されている。量子メモリとは長い時間,量子状態を保持できる素子であり,その候補のひとつとして固体中の核スピンの利用が提案されている。
今回,微細なメカニカル振動子が引き起こすひずみにより,核磁気共鳴の周波数を素子単位で制御できることが実験的に示された。
この技術により,集積素子における所望の量子メモリの核スピンを個別に操作することが可能となり,固体素子による量子メモリを実現していく上で,重要な要素技術となることが期待される。