AI による有機分子の設計とその実験的検証に成功理化学研究所(理研)共同研究グループ
本研究成果は,今後,有機エレクトロニクスなどにおいて分子が吸収する光を自在に制御することができる機能性分子の設計に道筋をつけた。
これまで,AI による有機分子の自動設計が行われてきたが,多くの場合,設計された分子の構造が,自然界に存在する分子や過去に合成された分子とは大きく乖離していた。そのため,それらの分子が安定に存在できるのかまた,実際に合成できるのか,所望の特性を示すのかなどについてはよく分かっていなかった。
今回,同グループは,光の吸収波長をターゲットに「深層学習によるAI 技術」と「量子力学に基づいた分子シミュレーション技術」を組み合わせることで,AI が設計した有機分子から,安定でありかつ所望の特性を持つ分子を自動選別することに成功した。さらに,この手法によって選別された数十個の分子のうち,数個の分子を実際に合成して所望の特性があることを確認し,AI が分子設計に有用であることを実証した。