人工衛星「しきさい」が捉えた日本の猛暑JAXA*,長崎大学**,宮崎 理紗*,村上 浩*,堀 雅裕*,森山 雅雄**
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今年の夏は日本各地で過去最高気温を更新するなど記録的な猛暑となった。2017年12月に打ち上げられたJAXAの気候変動観測衛星「しきさい」の観測でも日本の酷暑のようすを捉えた。「しきさい」は近紫外~熱赤外まで幅広い波長の観測を行うことができるが,この中の熱赤外の波長帯の観測によって地表面の熱の状態をも知ることができる1)。
図1は2018年8月1日の10:40頃に観測された熱赤外バンド(波長10.8 μm,12.0 μm)から推定した地表面温度の画像である2)。図2は同じ時刻に観測した植生分布である。図3はそれぞれの画像の関東周辺の拡大図である。図の白色の領域は雲域を示している(図1~図3共通)。
「しきさい」の観測時刻(10:40頃)は昼前にも関わらず,すでに地表面の温度がかなり上昇していたことがわかる。地表面温度の分布を植生分布と比較すると,東京や大阪などの大都市では日中は非常に温度が高くなっているのに対し,森林域では日中も比較的温度が高くなってはいなかった。「しきさい」の観測によるとこの日は特に大都市域で地表面温度が50度以上と非常に高温となっていた。「しきさい」の高空間分解能と高頻度の観測により,都市の中の大きな公園や緑地では周囲に比べて少し温度が低いようすやその昼夜の変化を見ることもできるようになったのである。
可視光の波長帯では,太陽光の反射がほとんどのため昼間の観測しか行えないが,熱赤外の波長帯は地球からの輻射(熱放出)を見ているため夜間でも観測を行うことができる。また,これまでの地球観測衛星の熱赤外観測に比べ,250 mというより高い空間分解能で高頻度の観測を行えることも「しきさい」の大きな特徴の1つなのである。
参考
1)「しきさい」の熱赤外バンドの観測は740 msecで定速回転する機械走査方式であり,黒体(高温校正源),深宇宙(低温校正源)を観測して得られるデータを使用して,2点校正を毎走査で行っている。
2)現在はデータ公開前の初期校正検証期間のため,地表面温度の精度は検証中である。
「しきさい」観測データは2018 年12 月に公開され,その際の地表面温度プロダクトの精度は3 度以下となる予定である。「しきさい」の地表面温度プロダクトは長崎大学 森山雅雄准教授が開発されたアルゴリズムを使用している。
図1は2018年8月1日の10:40頃に観測された熱赤外バンド(波長10.8 μm,12.0 μm)から推定した地表面温度の画像である2)。図2は同じ時刻に観測した植生分布である。図3はそれぞれの画像の関東周辺の拡大図である。図の白色の領域は雲域を示している(図1~図3共通)。
「しきさい」の観測時刻(10:40頃)は昼前にも関わらず,すでに地表面の温度がかなり上昇していたことがわかる。地表面温度の分布を植生分布と比較すると,東京や大阪などの大都市では日中は非常に温度が高くなっているのに対し,森林域では日中も比較的温度が高くなってはいなかった。「しきさい」の観測によるとこの日は特に大都市域で地表面温度が50度以上と非常に高温となっていた。「しきさい」の高空間分解能と高頻度の観測により,都市の中の大きな公園や緑地では周囲に比べて少し温度が低いようすやその昼夜の変化を見ることもできるようになったのである。
可視光の波長帯では,太陽光の反射がほとんどのため昼間の観測しか行えないが,熱赤外の波長帯は地球からの輻射(熱放出)を見ているため夜間でも観測を行うことができる。また,これまでの地球観測衛星の熱赤外観測に比べ,250 mというより高い空間分解能で高頻度の観測を行えることも「しきさい」の大きな特徴の1つなのである。
参考
1)「しきさい」の熱赤外バンドの観測は740 msecで定速回転する機械走査方式であり,黒体(高温校正源),深宇宙(低温校正源)を観測して得られるデータを使用して,2点校正を毎走査で行っている。
2)現在はデータ公開前の初期校正検証期間のため,地表面温度の精度は検証中である。
「しきさい」観測データは2018 年12 月に公開され,その際の地表面温度プロダクトの精度は3 度以下となる予定である。「しきさい」の地表面温度プロダクトは長崎大学 森山雅雄准教授が開発されたアルゴリズムを使用している。