OplusE 2019年7・8月号(第468号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
IoT普及のためには必須技術,エネルギーハーベスティング(環境発電)
- ■特集にあたって
- O plus E 編集部
- ■エネルギーハーベスティングWGの活動
- ユークエスト 冨岡 理
- ■環境発電に関わる応用物理学会の活動
- 東京大学 野村 政宏
- ■最新太陽光発電事情-太陽光発電が世界と日本で直面する課題
- 常葉大学 山本 隆三
- ■電池交換不要のLPWA小型センサーデバイスの開発
- 富士通*,富士通研究所** 中本 裕之*, 佐藤 弘幸*,高 虹**
- ■振動力発電の可能性
- 音力発電 速水 浩平
- ■環境熱で充電される「三次電池」
- 筑波大学 守友 浩
- ■温度差を必要としない熱-電力変換材料
- 九州大学 宗藤 伸治
- ■新しい熱電変換技術:磁性体の異常ネルンスト効果
- 東京大学 酒井 明人,中辻 知
- ■ナノ粒子間のホッピング伝導による熱電変換技術
- GCEインスティチュート 後藤 博史
特別企画
- ■画像センシング展2019 招待講演【スマート農業・IoT/AI】
- 日本電信電話(NTT) 久住 嘉和
- ■画像センシング展2019 誰にでもわかる特別講演【QoL】
- 東京大学 山崎 俊彦
連載
- ■【一枚の写真】インダイレクトビジョンで見えてきたシーンの深層情報
- 奈良先端科学技術大学院大学 久保 尋之
- ■【oe 玉手箱のけむり】その2 5Gと光
- 伊賀 健一
- ■【私の発言】何でもNoと言うNaySayerに負けるな その否定意見を論破できたら成功できる
- 公立諏訪東京理科大学 特任教授 小林 誠司
- ■【輿水先生の画像の話-魅力も宿題も-】第10回 Hough変換と大局視覚実装について―ヒト視覚とコンピューター視覚強化作戦―Hough Transform for Implementing Global Vision- On the Way to Enforce Computer Vision through Human Vision –
- YYCソリューション/中京大学 輿水 大和
- ■【光学ゼミナール】第10回 近軸光学(1)
- 宇都宮大学 黒田 和男
- ■【波動光学の風景】第137 回 139. 移相子の斜入射特性
- 東芝 本宮 佳典
- ■【干渉計を辿る】第11章 コヒーレンスとその制御 11.4 空間的コヒーレンスの制御とその応用
- 市原 裕
- ■【霜田光一に聞く電波と光の最前線開拓■最終回■】第VI章 霜田の物理教育を目的とした振り子実験―現在も継続中の実験と思索―
- ヒアリンググループ
- ■【研究室探訪】vol. 10 東北大学 多元物質科学研究所 中川研究室
- 東北大学 多元物質科学研究所 中川研究室
- ■【国立天文台最前線 先端研究を支える人たち】第8回 天文観測の新分野に挑戦する重力波プロジェクト推進室
- 荒舩 良孝
- ■【ホビーハウス】透過光を用いるしかけと絵本
- 鏡 惟史
- ■【コンピュータイメージフロンティア】『アルキメデスの大戦』『ペット2』『トイ・ストーリー4』『チャイルド・プレイ』ほか
- Dr.SPIDER
- ■【ホログラフィ・アートは世界をめぐる】第9回 旅するホログラム part 2
- 石井 勢津子
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
写真は,2つの仕事関数の金属の間にナノ粒子を配置して,ホッピング伝導による熱電変換している様子のイメージ図である。温度差を必要とする従来の熱電変換素子に対して,ナノ粒子間のホッピング伝導による方法は,新規の熱電変換技術に位置し,今後,「高効率な発電」を行うデバイスとなる可能性がある。(関連記事「ナノ粒子間のホッピング伝導による熱電変換技術」GCEインスティチュート 後藤 博史:詳細は553ページ)
特集にあたってO plus E編集部
IoT普及のためには必須技術,エネルギーハーベスティング(環境発電)
日本の内閣府が提唱する未来社会のコンセプト「Society(ソサエティ)5.0」は狩猟,農耕,工業,情報の社会に続く,以下の様な社会を具現化することを目標としている。■ドローンを使ってモノの運搬,測量だけでなく,災害救助まで実施
■人工知能AI(Artificial Intelligence)を搭載した家電同士が,日本だけでなく世界中でつながることでより便利となる
■高齢化が進むにつれ,大きな課題となる医療・介護問題を,ロボットをはじめとした先端テクノロジーが支援
ドイツのインダストリー4.0,アメリカのゼネラル・エレクトリックのインダストリアルインターネットは,主にICT(Information and Communications Technology),IoT(Internet of Things)による製造業の革新や生産性の向上にのみ焦点が当てられているが,「ソサエティ5.0」は,ICT,IoTなどのデジタル革新により「社会のありよう」を変えて,社会が抱えるさまざまな課題を解決する,包括的なコンセプトという点で異なると言う。
産業技術総合研究所のレポートでは,「ソサエティ5.0」を実現するための要素技術として挙げている1つのテーマの,
CPS(Cyber-Physical System)
は,実世界(フィジカル空間)にある多様なデータをセンサーネットワーク等で収集し,サイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して分析・知識化を行い,そこで創出した情報・価値によって,産業の活性化や社会問題の解決を図っていくもの,としている。
このCPSのデータソースの1つがIoTであり,機械や設備に組み込まれたセンサーから集めたデータを使用する,としている。
このIoTに対応するべく各種半導体デバイス(CPU,センサー,通信用等)の超低消費電力化への開発は積極的に行われている。
それに反して,それを駆動する電源に関しての研究・開発は色々されているが,芳しくない状況である。
そのような状況を反映してか,応用物理学会の新領域グループに「エネルギーハーベスティング研究グループ」が2018年10月に発足した。この新領域グループは,確立した分野でなく,萌芽期にある研究領域を対象にし,一般に社会からの認知を受けにくので自主的研究活動をしている技術内容に関して応用物理学会が支援する,としている。
このエネルギーハーベスティングは,環境発電やエネルギースカベンジング(Scavenging:ゴミの中から集める,か)とも呼ばれており,周辺環境から微小なエネルギーを得て電力に変換する技術のことである。熱,振動,電波などの異なるエネルギー源からさまざまな発電技術が検討されている。
英国の調査会社の報告によれば,2022年時点でのエネルギーハーベスティング関連の売り上げを,発電デバイスだけで50億ドル以上,エネルギーハーベスティング技術を組み込んだ製品では数兆円,活用したサービスの市場は数十兆円,としている。
もちろん世界中でいろいろな研究開発が行われているであろう。その中でもアメリカのFace International Corporationの「Evercell」は,本年にも製品化するとしている。この「Evercell」は異なる金属の間にALD(Atomic Layer Deposition)によりナノオーダーの薄膜を30~50層,成膜し,それを挟む構造である。仕事関数の小さい金属側から熱電子放出された電子が,各層を「トンネル伝導」により仕事関数の高い金属に伝わり,発電する原理としている。この発電素子のパターンニングはリソグラフィー(=トップダウン)で行われており,2016年10月から数μWの電力をこれまで連続的に発電している,とのことである。
このように,自然界に存在しない構造で発生する現象は,これまで経験したことがないことであり(そのため,すぐには受け入れられないことは多々あるであろうが),これこそが「ナノテクノロジー」の技術であると言える。
そこで,本誌でも今月号の特集とした。すべてがIoT関連の内容ではないが,できるだけいろいろな技術範囲の方々に執筆をお願いした。
読者諸氏には一読いただき,ご感想や今後の記事内容の記載のご希望等,お聞かせいただけましたら編集部としてはたいへんありがたいことである。
補足
これまでもエネルギー問題の対策としていろいろな呼び名で提案されているので,以下に,インターネットによる検索結果を簡単に記載しておく(技術内容として重なっている領域も多く,時間が経って定義が変わっていると感じている)。
・グリーンエネルギー 二酸化炭素や窒素酸化物といった有害物質を出さない,あるいは,その排出量が極めて少ないエネルギーのこと。具体的には,太陽光や風力,バイオマス(生物資源),地熱,天然ガスといった自然エネルギー源。
・クリーンエネルギー 電気や熱などに変える際,二酸化炭素や窒素酸化物などの有害物質を排出しない,または排出量の少ないエネルギー源。 自然エネルギーや再生可能エネルギーとも呼ばれる。太陽光,水力,風力,地熱のほか,燃料電池,コージェネレーション,天然ガスなども含まれる(原子力発電もここだったのでは:編集部記載)。
・再生可能エネルギー
自然エネルギーとも呼ばれており,石油や石炭,天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い,太陽光や風力,地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギー。一度利用しても再生可能で枯渇しないエネルギー資源。
・枯渇性エネルギー
人間が利用する速度より生成される速度が遅く,そのうち枯渇してしまうエネルギー。主に石油石炭,天然ガスなどの地下資源。
・新エネルギー
オイルショックなどによる石油等の価格高騰や地球温暖化防止を背景に,非化石エネルギーのうち,技術的には実用段階であるが,経済的な理由から普及が十分に進んでおらず,利用促進を図るべきエネルギー源。太陽光発電や風力発電など。
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