酸化グラフェンの光による酸素除去メカニズムを解明筑波大学,岡山大学,九州大学 研究グループ
酸化グラフェンは,次世代材料として期待されている炭素二次元シート(炭素からなるナノメートルオーダーの厚みの材料)の原料物質である。安価で大量に入手しやすい黒鉛から合成できる。
しかし,酸化グラフェンはそのままでは電気を流さないため,電子デバイスなどに応用する際には,酸素を適切に除去する必要がある。除去には,光の照射や加熱が用いられるが,そのメカニズムは十分に解明されておらず,望みの機能をもった炭素二次元シートを作製する方法は定まっていなかった。
加熱による酸素除去では,一酸化炭素や二酸化炭素の形で酸素が除去されるような複雑な化学反応が進行し,特定の酸素原子のみを除去することはできない。一方,光照射による酸素除去は,酸化グラフェン中に様々な形で結合している酸素原子のうち,特定の結合をしている酸素原子のみが除去されることが,本研究により明らかになった。このような光による選択的な酸素除去を活用すれば,望みの構造をもつ炭素二次元シートを効率的に合成することにつながると期待される。