光エネルギーで有機廃液を浄化,同時に水素を取り出す技術開発に成功東京理科大学 研究グループ
光触媒とは,吸収した光をエネルギー源として,通常では進行しない化学反応を促進させる物質のことである。つまり,光触媒反応を上手に利用できれば,光エネルギーを化学エネルギーに変換して貯蔵できることになる。将来的には,太陽光エネルギーを使って水を分解し水素を発生させ,エネルギー源として利用できる可能性がある。
また,空気中や水中で光触媒材料に光が当たると電子が励起され(エネルギーの高い状態になり),水や酸素と反応して活性酸素が発生する。活性酸素には極めて強い酸化力があるので,アルコールをはじめとするほとんどすべての有機化合物は酸化分解してしまう。つまり,光触媒には,抗菌,汚れ分解,脱臭などの機能がある。
現在,光触媒として実用化されている酸化チタンは,この性質を利用して,ガラスやタイルなどのコーティング,空気清浄器のフィルターなどに使われている。今回の実験で,水銀キセノンランプ(紫外光)照射下においてオキシ水酸化鉄の光触媒反応による水素生成・有機化合物分解能は,酸化チタンの25倍もあることがわかった。今後,オキシ水酸化鉄が可視光に応答するように材料創製することで,酸化チタンに代わる光触媒材料としての可能性が期待される。