「温めると縮む」新たな負熱膨張材料を発見東京工業大学

 東京工業大学の研究グループは,リン酸硫酸ジルコニウム(Zr₂SP₂O₁₂)の単相合成に成功し,これが2種類の収縮メカニズムを併せもつ新規な“温めると縮む”負熱膨張材料であることを発見したと発表した。
 負熱膨張材料は,光通信や半導体製造装置の構造材など,精密な位置決めが求められる局面で熱膨張を抑制する効果がある。しかし従来の負熱膨張材料には,広い作業温度域と大きな負熱膨張性の両立が困難という問題があった。
 本研究で単相合成に成功したZr₂SP₂O₁₂は,フレームワークメカニズムと相転移メカニズムという異なる収縮メカニズムを併せもつ材料であることが明らかになった。さらに,熱処理による高機能化により,室温から500℃まで広い温度範囲で大きな負熱膨張性を示し,最大で-108 ppm/K(ZrS₀.₉PO₁₂⁻δの120℃から180℃の体積膨張率)であることが確かめられた。今後,元素置換等により組成を変化させることで,さらに大きな負熱膨張率を有する材料の開発が期待される。また,5GやIoTデバイスへの応用を念頭に,ポリマー材料との複合化に取り組む予定とされている。

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