10億気圧の光のエネルギーを物質に閉じ込める物理機構を解明大阪大学，米国ローレンスリバモア国立研究所

　大阪大学，米国ローレンスリバモア国立研究所の研究グループは，高強度レーザー光のエネルギーを高効率に物質に閉じ込める物理機構を明らかにし，太陽中心近傍に匹敵するエネルギー密度のプラズマ状態を局所的に形成できることを示した。本成果は，10億気圧を超える極限的な状態における光から物質へのエネルギー変換の基礎物理の1つを明らかにしたものである。
　これまでは，物質を高い圧力状態にするために高強度の光をスポット照射すると，電離した物質（プラズマ）の表面で光のエネルギーを受け取った粒子はすぐにスポット領域外へと散逸してしまうと考えられていた。この散逸を抑えてエネルギーを高い密度で物質に閉じ込めるために，ターゲット形状を工夫するなどの研究が主に進められてきた。
　今回，同グループは，継続的に高強度光を照射すると，プラズマ粒子は自らが作る凹凸のある電磁場構造の中でランダムウォークを開始し，スポット領域から容易に逃げられなくなることを理論的に解明した。これにより，光のエネルギーを集積して局所的に100億気圧級の高エネルギー密度の物質状態を作り出すことができ，新しい物質機能の発現とその応用展開が期待される。