ポスト5G・6Gの材料開発に向け,誘電体基板の温度特性を計測する技術を確立新エネルギー・産業技術総合開発機構
有機・高分子系機能性材料は,日本の素材産業が高い競争力をもつ分野で,省エネ効果のほか複合化による多種類の機能発現などが期待されている。一方,ポスト5G・6Gなどミリ波を用いた高速大容量無線通信では,動作周波数の高周波化に伴い回路基板の伝送損失が増大し,消費電力が増加してしまう課題があり,ミリ波対応材料の低損失化が求められている。ミリ波対応材料の設計・開発では,誘電体基板の誘電率と基板表面に形成される金属層の導電率が回路の伝送損失を決めるパラメーターとなる。従来技術では室温環境下においてミリ波帯での材料の誘電率や導電率を計測することは可能であったが,屋外設置のアンテナ・レーダーなどの回路やデバイスで想定される幅広い使用温度域における計測技術は確立できておらず,実使用環境下で想定される幅広い温度域での低損失化に向けた材料開発の支障となっていた。
そこで,NEDOと産業技術総合研究所はこのたび高周波回路などに使われる金属張の誘電体基板に対し,誘電率と導電率の温度特性を10~100 GHz超の超広帯域で計測する技術を確立したと発表した。本技術では,温度制御を可能にした超広帯域動作の共振器を開発することにより,これまで未確立であった,室温から100 ℃までの温度域での超広帯域のミリ波帯材料計測を実現した。