超重元素の初めての精密質量測定に成功高エネルギー加速器研究機構,理化学研究所,九州大学
原子番号(=陽子数)が大きい超重元素は,正の電荷をもつ陽子間の反発力が大きく,どこまで原子番号の大きい元素が存在できるか分かっていないため,新元素の探索が続けられている。一方,なぜ存在できるかを解明するには,原子核の結合エネルギーの系統的研究が鍵となり,そのためには超重元素同位体の質量をくまなく精密測定することが必要である。
理研の加速器施設において核融合反応で生成されたドブニウム同位体(²⁵⁷Db)は,研究グループが開発したMRTOF質量分光器とα-TOF検出器を用いることで,1日に2個程度しか観測できない稀な事象にも関わらず,質量を1/100万の相対精度で決定できた。これは,超重元素同位体を直接質量測定した初めての実験である。また,今回の測定結果から,超重元素領域の原子核の原子番号を決定するには最低2事象を観測できれば良いことも実証した。