OplusE 2021年9・10月号(第481号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
Beyond 5G/6Gに向かう!光通信技術
- ■特集にあたって
- OplusE 編集部
- ■5G/6G時代に向けた光ネットワークの進化
- 日本電信電話 可児 淳一,金子 慎,原 一貴,吉田 智暁
- ■仮想化光アクセスシステム
- 三菱電機 小崎 成治
- ■有無線融合エッジ・アクセスプラットフォーム
- 福井大学 橘 拓至
- ■アナログ光伝送方式を用いたモバイルフロントホール
- KDDI総合研究所 西村 公佐,石村 昇太
- ■Beyond 5G/6G技術の超拡張性を目指す光空間・宇宙光通信
- 情報通信研究機構 豊嶋 守生,チン・ヴィエット フック,カラスコ・カサド アルベルト,コレフ・ラドコフ ディミタル,白玉 公一,布施 哲治,辻 宏之
特別企画
- ■画像センシング展2021 特別招待講演
- 横浜国立大学 白川 真一
- ■画像センシング展2021 特別招待講演
- 東京大学 南 豪
連載
- ■【一枚の写真】モジュール化した高速度3次元動画像顕微鏡
- 京都工芸繊維大学*,産業技術総合研究所**,神戸大学*** 稲本 純也*,井上 智好*,西尾 謙三*,夏 鵬**,的場 修***,粟辻 安浩*
- ■【oe 玉手箱のけむり】その15 スポーツと光(2)
- 伊賀 健一
- ■【私の発言】質問したりアクティブに学べば,その後の信用が得られる
- 宇都宮大学 オプティクス教育研究センター ネイザン・ヘーガン
- ■【輿水先生の画像の話-魅力も宿題も-】第23回 画像AI 研究から頂いた諸子百家のメッセージ(6/ SSII(上巻))-研究開発の“うひ山ふみ”への着火剤-The Sixth (first Vol. on SSII): Messages from Hundred Schools of Thought to Image AI novice Researchers- Some Initiators for R&D “UI-YAMAFUMI” People –
- YYCソリューション/中京大学 輿水 大和
- ■【撮像新時代CMOSデジタルイメージング】第4回 技術動向:CISの機能進化(3)
- 名雲技術士事務所 名雲 文男
- ■【レンズ光学の泉】第1章 結像の自由度 1.4 シャインプルーフの条件と3次元無収差条件
- 東京工芸大学 渋谷 眞人
- ■【研究室探訪】vol. 23 電気通信大学 坂本・松倉研究室
- 電気通信大学 坂本・松倉研究室
- ■【国立天文台最前線】第21回 すばる望遠鏡の観測を強化する赤外線画像センサーの開発
- 荒舩 良孝
- ■【ホビーハウス】全反射と空中への瞳結像
- 鏡 惟史
- ■【コンピュータイメージフロンティア】『レミニセンス』『DUNE/デューン 砂の惑星』ほか
- Dr.SPIDER
- ■【ホログラフィ・アートは世界をめぐる】第23回 国際ディスプレイホログラフィーシンポジウム・ISDH― レイクフォーレスト・カレッジ その2 ―
- 石井 勢津子
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
図は,光空間・光衛星通信技術を用いた将来の主な利用アプリケーション例を示している。Beyond 5G/6Gの時代には,非地上系ネットワーク(NTN)への光通信技術の応用について様々な利用形態が考えられるが,ドローンや高高度プラットフォーム局(HAPS)を用いた光空間通信や,キューブサット等の超小型衛星を用いた光通信の利用,衛星コンステレーションにおける光通信の基幹通信網への応用,電波と光を用いるハイブリッドなハイスループット衛星システムへの活用,さらには大容量光通信を用いた深宇宙通信への基幹網の構築などが挙げられる。(関連記事「Beyond 5G/6G技術の超拡張性を目指す光空間・宇宙光通信」情報通信研究機構 豊嶋 守生 ほか:詳細は502ページ)
特集にあたってOplusE編集部
Beyond 5G/6Gに向かう!光通信技術
無線技術の高速化が進展している。日本国内では2020年に5G(第五世代,Fifth Generation)移動通信システムのサービスが通信事業者から提供され始めた。その特徴は,図1の中心に示すように,既存の第四世代(LTEなど)よりも「高速大容量(eMBB:enhanced Mobile Broadband)」「多数同時接続(mMTC:massive Machine Type Communication)」「高信頼・低遅延通信(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communication)」であると言われている。その実現のため,3.5 GHz/4.5 GHzのマイクロ波帯だけでなく,直進性の高いミリ波などを用いて広帯域性を活用する一方,電波の届かないエリアの影をなくすために無線でカバーするエリアを小さくかつ移動端末に近づけることを行ってきている。そのため,無線信号そのものを生成する基本信号の生成部を高周波無線信号送受信部と切り離し,光ファイバーで結ぶことで高速な信号のカバー範囲を拡張してきた。このように,無線通信の発展と光ファイバー通信技術の発展は切っても切り離せない関係性がある。今後,研究開発の中心はBeyond 5Gあるいは6G(第六世代,Sixth Generation)に移行している。その段階では,5Gの3つの特徴をさらに発展させるだけでなく,新たな2つの特徴である「Extreme coverage extension」「Extreme low energy & cost」を目指しているとのことである。まだ6Gの研究開発は緒に着いた段階だと思われ,一般にはどのような技術が使われて目的達成するか,ようやく学会や関連雑誌にて取り上げられるようになった段階である。さらに,そこに光通信技術がどのようにかかわり,サポートしていくのか,については,あまり雑誌などでの企画が多くはないとの印象がある。そのため,この時期を捉えて,6Gを支える技術としての光通信の研究開発動向について企画することとなった。 NTTでは, 今後の目指す研究開発の目標としてInnovative Optical and Wireless Network(IOWN)を掲げており,その一部に高速無線と光ネットワークインフラ,その上で機能するアプリケーションが大きくかかわると思われる。その考え方と関連研究の概要について,これまでの通信ネットワークの構成とIOWNで目指すネットワークの構成の比較と違い,求められる柔軟な機能性,アクセスネットワークの仮想化の内容について,NTTの可児淳一氏らにご執筆いただいた。
その後に続く記事としては,前述の特徴を有する研究開発内容を取り上げている。Extreme high reliability,Extreme low energy & costを実現する仮想化光アクセスシステムについて,三菱電機の小崎成治氏にご執筆いただいた。Beyond 5G/6Gに向けて発展してきている無線ネットワークの構成に低コスト化を実現するためのPassive Optical Network(PON)を検討しつつ,単に高速化のみならず,機能に応じてネットワーク資源を有効活用するための技術についても概要を述べていただいている。
また,Extreme low latencyを実現する新しい有無線融合エッジ・アクセスプラットフォームについて,ユーザーに可能な限り近い位置でBeyond 5G/6Gの求める高速・低遅延・多数接続の性能を実現するための処理を行いつつ,様々なサービスを実現するためのネットワーク構成・運用管理技術も求められる。その研究開発内容について,福井大学の橘拓至氏にご紹介いただくこととした。
さらに,Extreme high data rate/capacity,Extreme massive connectivity & sensingを実現する技術として,広帯域化する無線信号を広範囲にカバーするための光ファイバー伝送の役割と,伝送における課題に触れ,その解決手段としてのIntermediate Frequency over Fiberと呼ばれる光アクセス技術に関してKDDI総合研究所の西村公佐氏らにご執筆いただいた。合わせて,無線信号の特定方向に指向させるためのフォトニックアンテナとビームフォーミング技術にも触れていただいている。
最後に,Extreme coverage extensionとしては,今までの地上系・海底系光ファイバーネットワーク以外の,宇宙,空間(特にHAPS),水中・地中,といった場所での新たなネットワーク基盤の構築が期待されている。その関連技術として,地球の地上と空間との通信としては,衛星,ドローンを用いた光空間通信に主に焦点を当て,さらに地球と月面間に範囲を広げた深宇宙通信の研究開発に関して,情報通信研究機構の豊嶋守生氏らにご執筆をお願いした。関連する内容として,先進光衛星通信技術・衛星量子暗号技術についても触れていただいている。
今回の企画を通して,さらなる無線通信技術の発展の状況を知るとともに,その技術に光通信技術の大いに貢献している様子をご理解いただければ幸いである。
参考文献
1)NTTドコモ ホワイトペーパー:“5Gの高度化と6G(3.0版)”,2021年2月
https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/whitepaper_6g/index.html
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