水たまりに油膜ができる現象を利用して高機能シート材料を簡単に作製大阪府立大学
厚さナノメートルのシート状のナノ材料は“ナノシート”と呼ばれ,究極に薄い機能材料として,小型化,省資源性の観点から注目を集めている。これまでに報告されている多くのナノシートは,大きなスケール(マクロスケール)の材料を剥離することにより製造されている。この製造方法には多くのエネルギーを必要とする高温・高圧や複数のプロセスが含まれる。また,剥離する過程でナノシート自体が破壊されるなどの課題がある。
水面に油膜ができる現象は古くから知られており,数滴の油を水面に落とすだけで,大面積で均一な油膜が形成される。同グループは,この現象が省エネルギープロセスの材料製造につながるのではないかと考え,水面に原材料を含む溶液を滴下するという極めて簡単な方法で,高度な立体ナノ構造を有し,電気を流すナノシートの作製に成功した。このナノシートは,用途に応じて様々な基板に転写して使用することが可能である。立体ナノ構造中には,形状とサイズが揃ったナノスケールの細孔が無数に含まれる。多孔質で電気を流すナノシートをセンサーや電池材料として用いることで,小型化・高機能化が期待される。