OplusE 2011年12月号(第385号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
最近のプロジェクターシステム
- ■特集のポイント
- O plus E編集部
- ■プロジェクターの歴史,概要および基本
- 徳島大学 西田 信夫
- ■ホームシアタープロジェクターの製品と技術動向
- エーブイシー 村瀬 孝矢
- ■スーパーハイビジョン用超高精細プロジェクター
- NHK放送技術研究所 金澤 勝
- ■レーザープロジェクター技術の最新動向
- 大阪大学 山本 和久
- ■高精細プロジェクターを用いたインテグラル立体ディスプレイ
- NHK放送技術研究所 佐々木 久幸,JVCケンウッド 内山 裕治
- ■マルチプロジェクターを用いた重畳型インテグラルイメージング3Dディスプレイ
- 日立製作所 小池 崇文,及川 道雄,坂井 秀行,山崎 眞見
- ■
特別企画 国際画像機器展2011 特別招待講演プレインタビュー
- ■時代は今マッシブビジョンへ
- イノインテック研究所 所長 山本 和彦
連載
- ■【一枚の写真】フェムト秒レーザーを使って毛細血管の三次元構造を再現
- 名古屋大学 新井 史人
- ■【私の発言】ライバルとなる友を作ろう
- 名古屋大学 産学官連携コーディネーター 虎澤 研示
- ■【波動光学の風景】第77回 79. FFTによる回折計算
- 東芝 本宮 佳典
- ■【コンピュータイメージフロンティア VFX 映画時評】
- Dr.SPIDER
- ■【研究所シリーズ】物質・材料研究機構「光波メタマテリアルの負の屈折現象を担うプラズモン共鳴」
- 先端フォトニクス材料ユニット プラズモニクスグループ 岩長 祐伸
- ■【ホビーハウス】ステレオ写真の本(92)2011年に発行されたアナグリフ印刷の雑誌
- 映像技術史研究家 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
最近のプロジェクターシステムOplusE編集部
プロジェクターの元は「幻灯器」であり,歴史的にも古い。その後,ポジ写真フィルムを投影するスライド・プロジェクター(静止画)や映画(動画)用映写機として発展した。(電子)ビデオ信号を入力して投影表示するタイプのプロジェクターについては,本特集最初の記事「プロジェクターの歴史,概要および基本」で述べられている。1980年代から,写真フィルムの代わりに液晶パネルやDLP(Digital Light Processor)が使われるようになり,プロジェクターは様変わりした。そして,パソコン(PC)の高性能化により,教育を始めとするプレゼンテーションに広く使われるようになった。プロジェクター特集は,本誌 O plus E の2008年3月号(約3年半前)で取り上げたが,この3 年でプロジェクター分野は新たな展開を見せており,プロジェクターシステムに関するニュースも目につく。その理由としては,
- スマートフォンに代表されるモバイル情報端末のディスプレイをより見やすいように大きく表示するニーズがありそうである
- プロジェクターの光源として,LED,半導体レーザーが使えるようになりつつある
- デジタルシネマおよび(デジタル)3D映画が多く制作されるようになった。そのため,それらが上映できる映画館が,3D映画のブームに伴って増えてきている。そこでは,従来の(フィルム)映写機ではなく,プロジェクターシステムが必須である
- Blu-rayディスクなどによる高品質の映像コンテンツが入手しやすくなり,自宅でそれを高品質で鑑賞したい(いわゆる「ホームシアター」)というニーズがある
プロジェクターを「使われ方」で分けると,以下のように分類される。
- プレゼン,講義用(いわゆるデータプロジェクター:数(十)人~100 人程度が同時観察)(PCによる文字やグラフの表示が主,映像は従)
- ホームシアター用(数人程度が同時観察)(映像が主)
- シネマ・シアター用(デジタルシネマ劇場用:100人程度が同時観察)(映像が主)
- 携帯用(ナノあるいはピコ・プロジェクター)(1~2人程度が同時観察)(ケータイ画面の拡大表示)
- (立体)3D映像観賞用(映像が主)
- プロジェクター付きケータイ,デジカメ,ビデオカメラ
- その他
この数年で大きく変わった分野は,映画館の映写機である。従来は長年にわたって,映画館で使われていた“フィルム映写機”が,デジタルシネマ用プロジェクターにどんどん置き換わっている。このデジタルシネマの上映システムは,主に映像を映すプロジェクター,映像コンテンツデータを収納するサーバー,映像をストリーミング再生するメディアブロックから構成される。 放送用の機材・システムの展示会の一つであるInternational Broad Cast 2011(IBC,アムステルダム,2011年9月8日~13日, 米国のNABに対応) でのEDCF(European Digital Cinema Forum)における英国の調査会社HISスクリーンダイジェスト社の講演によると,2011年夏現在,世界の約12万スクリーン中,デジタルシネマは5万8,000程度と,映画スクリーンのほぼ半数がデジタル化(プロジェクター使用)されている。そのうちの約3万5,000スクリーンが3D対応である。地域別のデジタルシネマスクリーン導入数としては,北米が約2万,欧州(全域)が約1万4,000,中国が約6,000である(映像新聞2011年10月3日号)。日本の映画館でもデジタルシネマスクリーンの数が,3D映画上映可能なシステムとして急速に増えつつある。このように,この数年で,フィルム映写機からデジタルシネマ用プロジェクターに置き換わられつつある。ソニーでは,デジタルシネマ用のフルHDの4倍を超える885万画素(4,096×2,160画素)の超高精細映像が投影可能なデジタルシネマプロジェクターシステムの累計出荷台数が1 万台に達したと発表した。
もう一つの動きは,携帯用プロジェクター(ナノあるいはピコ・プロジェクター)である。光源としてLEDまたはレーザーを用いる。このプロジェクターはまだ立ち上がりつつある段階であるが,米国の調査会社パシフィックメディアアソシエイツ(PMA)によると,この世界市場は2011年上期に約83万台となり,前年同期の27万台との比較で3倍以上と急拡大している。この数値には,スタンドアローンモデルや他の機器への内蔵モデルも含めている。このプロジェクターの電源供給はバッテリーである。これから,一般消費者の購入が急激に伸びると予想し,さらに詳細な調査を進めている。
本特集では,これらの分類に沿って以下のような特集にした。
- プロジェクターの歴史,概要および基本(徳島大学 西田信夫)
- ホームシアタープロジェクターの製品と技術動向(エーブイシー 村瀬孝矢)
- スーパーハイビジョン用超高精細プロジェクター(NHK 放送技術研究所 金澤勝)
- レーザープロジェクター技術の最新動向(大阪大学山本和久)
- 高精細プロジェクターを用いたインテグラル立体ディスプレイ(NHK 放送技術研究所 佐々木久幸,JVCケンウッド 内山裕治)
- マルチプロジェクターを用いた重畳型インテグラルイメージング3Dディスプレイ(日立製作所 小池崇文ほか)
本誌 O plus Eの2008年3月号(約3年半前)におけるプロジェクター特集のタイトルおよび著者(当時の所属)を併せて示す。もし,これらの記事を読んでみたい場合には,アドコム・メディア(株)にコンタクトしていただきたい。
- プロジェクターは使われ方の多様化に応じて進化している(徳島大学 西田信夫)
- フロントプロジェクターの今後の付加価値(テクノ・システム・リサーチ 高橋緑ほか)
- データプロジェクターの光学的技術動向(セイコーエプソン 西田和弘)
- フルHDフロントプロジェクターの光学的技術動向(ソニー 石野裕久)
- スーパーハイビジョンシアター(NHK 放送技術研究所 金澤勝)
- ライトバルブプロジェクターの動向(三菱電機 鹿間信介)
- プロジェクターを用いた広視野ディスプレイ(大阪大学 清川清)
- プロジェクターを用いた立体映像システム(情報通信研究機構 奥井誠人ほか)
参考文献