OplusE 2015年1月号(第422号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
国際光および光技術年にあたって
- ■特集にあたって
- O plus E 編集部
- ■国際光年を迎えて
- 東京大学 荒川 泰彦
- ■国際光年(International Year of Light and Light-Based Technologies)を迎えて―21世紀は光の時代です―
- SPIE 会長 谷田貝 豊彦
- ■国際光年:日本光学会の取り組み
- 日本光学会会長 黒田 和男
- ■光エレクトロニクスとその将来
- 東京工業大学名誉教授 伊賀 健一
- ■クロスロード
- 東京大学名誉教授 尾上 守夫
- ■もう一度,デジタル時代だからこそアナログの心を
- ニコン 後藤 哲朗
- ■「光と画像」の今から何を考える
- 島田 禎晉
- ■新しい日本光学会への期待
- 東京工業大学名誉教授 辻内 順平
連載
- ■【一枚の写真】生体深部を高速かつ広い視野で観察できる光シート顕微鏡
- 愛媛大学大学院 大嶋 佑介
- ■【私の発言】常に1つのことを突き詰める そして時々それを俯瞰し視点を変えて新たなトライアルをしながら一貫して前進して行く
- 東京大学 荒川 泰彦
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第23章 発光ダイオードの輝き(その2)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■【コンピュータイメージフロンティア VFX 映画時評】
- Dr.SPIDER
- ■【ホビーハウス】ステレオ写真の本(第104回)光学部品が付いている本
- 映像技術史研究家 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
特集にあたってO plus E 編集部
新年にあたり最初の特集は,国際光および光技術年(The International Year of Light and Light-based Technologies 2015)を取り上げた。ここでは,前半に学会での「国際光年の取り組み」の紹介,後半においては光のさまざまな分野における夢と期待を語っていただいた。国際年(INTERNATIONAL YEARS)とは,国際連合広報センターによると,「特定の日,または一年間を通じて,平和と安全,開発,人権/人道の問題など,ひとつの特定のテーマを設定し,国際社会の関心を喚起し,取り組みを促すため制定する取り組み」という(http://www.unic.or.jp/activities/international_observances/years/)。1959年から始まり,年々盛んになっているが,身近なものでは,2014年国際結晶年,2011年国際化学年,2009年国際天文年,2005年国際物理年があったのでご記憶の方も多数いらっしゃるかと思う。
国際光年について簡単に紹介すると,2013年12月3日の国際連合総会で宣言された,エネルギー,教育,農業および健康などの地球上の問題解決や持続的発展を促進するために光技術がいかに貢献しているかを次世代へ光を通じて科学を学習することを促していくことを目指すものである。なお,本特集でも荒川先生と谷田貝先生が詳細に述べられているのでぜひお読みいただきたい。また,SPIEのホームページには,図1のような分野をまとめたスライド,ビデオがアップロードされているので,興味がある方はぜひ,ご覧いただきたい。(http://spie.org/x93905.xml) 国際光年の2015年は,光の記念すべき発見の50年または100年の節目の年にあたるそうである。さまざまな1015年の光の屈折・反射,眼球の仕組みやピンホールカメラ等を光学の書としてまとめたイブン・アル・ハイサムの光に関する研究,1815年のフレネルの光の波動説,1865年マックスウェルによる光伝搬についての電磁理論,1905年の光電効果および1915年の一般相対性理論についてのアインシュタインの理論,1965年ペンジアスとウィルソンの宇宙マイクロ波背景放射の発見およびカオ光通信技術などが挙げられている。ここで記すまでもないが,2014年12月には「高輝度・低消費電力白色光源を可能とした高効率青色LEDの発明」に対して赤崎勇先生,天野浩先生,中村修二先生にノーベル物理学賞が送られたのは,日本人にとって大変喜ばしいことである。さらに,光の分野では,「超解像度の蛍光顕微鏡の開発」に対してエリック・ベッツィヒ博士(米・ハワード・ヒューズ医学研究所),シュテファン・ヘル博士(独マックスプランク研究所),ウイリアム・モーナー博士(米・スタンフォード大学)にノーベル化学賞が送られた。特に,ヘル博士の業績は,観測するスポットを取り囲む領域に別の光を当てることで蛍光を止め,観測スポットから出てくる蛍光だけを捉えるSTED蛍光顕微鏡を,ベッツィヒ博士とモーナー博士は,色素分子1個からの蛍光を捉えることで高解像度顕微鏡を実現した。これらの物理学賞と化学賞ともに光技術の発展に贈られたもので,光技術の済ますの発展に心からお祝い申し上げる。
国際光年は,1月19,20日 フランスのパリOpening Ceremony of the International Year of Lightから始まってさまざまな国際的なイベントが企画されている。国際光年のホームページ(The International Year of Light and Light-based Technologies 2015,http://www.light2015.org/Home.html)や国際光年の日本語Webページ (http://iyl2015-japan.org)からリンクされているので参考にしていただきたい。ちなみに今日本で予定されているイベントとしては,4月22~24日の横浜でのOPIE2015と10月25~28日 福岡で開催されるマイクロオプティクス国際会議(MOC)が掲載されているが,この他にも日本学実会議による記念シンポジウム,日本光学会や精密工学会における国際シンポジウム等,さまざまな計画がされているようである。今後O plus Eのイベントカレンダーや掲示板でも紹介していく予定である。
一方,国際的な学会活動では,日本人の活躍が期待される。2014年10月から3年間,光学,フォトニクス分野の普及のために活動する国際学術連合組織の国際光学委員会(ICO)の会長に,東京大学の荒川泰彦教授が就任している。また,2015年には,宇都宮大学オプティクス教育研究センター長の谷田貝豊彦教授が,国際光工学会(SPIE)の会長に,アジア人として初めて就任する。さらに,国内に目を向けると,2015年1月から一般社団法人日本光学会が設立され,初代会長に宇都宮大学の黒田和男教授が就任する。応用物理学会分科会日本光学会と長い歴史を経て待望の独立となった。その歴史的背景については,辻内順平先生がご執筆されている。
後半は,O plus Eにおける,国際光年の光の動向特集の記念企画である。折しも2009年に創刊30周年を迎えた際,O plus E 1月号に「未来に羽ばたく光と画像」を特集した。その時には,光と画像の分野を専門とする先生方に期待と夢についてご執筆いただいた。今回,6年後の新たな期待と夢の執筆をお願いした。連載「光エレクトロニクスの玉手箱」でおなじみの伊賀健一先生には,「光エレクトロニクスとその将来」と題して,光エレクトロニクスの視点から将来を語っていただいた。尾上守夫先生には,「クロスロード」と題して,新しいイノベーションについて語っていただいた。後藤哲郎先生には,「もう一度,デジタル時代だからこそアナログの心を」と題して写真器材の展望を議論いただいた。島田禎晉先生には,「「光と画像」の今から何を考える」と題し,光通信から4Kテレビのについての展望,辻内順平先生には新しい「日本光学会への期待」と題して,光学会の歴史的な背景から将来の展望までご執筆をいただいた。
今回,国際光年の特集にあたり国際的な学会でご活躍の超ご多忙な先生方8名にご執筆いただくことができた。ここに心から感謝申し上げる。
あらためて創刊30周年号に目を向けると「読者にとって役立つ雑誌とは何か?」との問いかけが,編集長の結びに記載されている。創刊36年目を迎えるにあたって,読者の皆さま,執筆いただいている方々,そして編集同人の支えにあらためてお礼を申し上げるとともに,より良い雑誌を目指して1年の計としたい。
2015年が読者の皆さまにとって光り輝く素晴らしい一年でありますように。
広告索引
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- (株) オフィールジャパン422-002
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