OplusE 2016年6月号(第439号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
最新ドローン技術 ―センシングを中心として―
- ■特集にあたって
- O plus E 編集部
- ■ドローン産業の健全な発展と安全ルール
- 東京大学 鈴木 真二
- ■ドローンを活用した水稲における精密農業サービス
- ドローン・ジャパン 春原 久徳
- ■災害対策のドローン活用事例:土石流予測を目的とした火山災害地域のセンシング技術
- 東北大学*,エンルート**,国際航業*** 永谷 圭司*,伊豆 智幸**,藤原 伸也***,金井 啓通***
- ■リモートセンシング衛星とドローンのベストミックスによる地球観測の可能性
- 総合地球環境学研究所 渡辺 一生
- ■ドローンで新しい遊びの創出
- ORSO 坂本 義親
連載
- ■【一枚の写真】世界初,光渦の輻射力が創るシリコンニードルとその形成過程の可視化に成功
- 千葉大学 尾松 孝茂
- ■【私の発言】すこしだけ待てば,次の朝,光学はまた楽しくなる
- モンタナ州立大学 Joseph Shaw, Ph. D.
- ■【第11・光の鉛筆】7 HelmholtzとGrassmann
- 鶴田 匡夫
- ■【波動光学の風景】第118回 120. 結晶点群とラウエクラス
- 東芝リサーチ・コンサルティング 本宮 佳典
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第40章 光のキャッチャー:受光デバイス(その2)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■コンピュータイメージフロンティア
- Dr.SPIDER
- ■【ホビーハウス】クロス・ハーフミラー,クロス・ダイクロイックミラーについての技術史研究家のメモから
- 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
ドローンの登場により,安価で超高解像度な画像を取得できるという利点を活かした,高頻度な地球観測が可能となった。写真は,インドネシアのスマトラ島で撮影したリモートセンシング衛星WorldView-3の画像(図左)と,同じ場所のドローンの画像(図右)を比較したものである。(関連記事「リモートセンシング衛星とドローンのベストミックスによる地球観測の可能性」総合地球環境学研究所 渡辺 一生:詳細は535ページ)
特集にあたってO plus E 編集部
最新ドローン技術 -センシングを中心として-
「ドローン元年」,2015年はそう呼ばれている。確かに昨年は国内においても,首相官邸の屋上や御開帳行事中の善光寺の境内にドローンが墜落したり,改正航空法が施行されたり,いろいろなことがあった。英語で雄のハチを指す語句,Droneから転じて,自動制御される無人の飛行体や車両を「ドローン」と呼んでいる。
この市場,昨年は約30億円と推定し,2030年の国内で営業用に使われる物だけで1000億円を超える市場が誕生すると予測もある。
ドローン活用が検討されている機能として,「飛ぶ」「運ぶ」「情報を集める」と分けることができるそうだが,「情報を集める」ことは,センシングしてそのデータをデジタル化して使用することである。この機能においては,半導体産業の進化の恩恵を大いに受け,安価だが性能の高い光学系やカメラを使って大量の画像を撮影し,高速処理のアルゴリズムを使って地形の3Dモデルデータ化を短期間・低コストで行うことが可能となる。測量や点検業務にはもう実用化されており,これまで複数の人員が3日がかりで行っていた測量の作業が,ドローンの活用により30分程度で済むとの報告もある。
このように法規制も定まり,社会認識も増え,これからドローンはいろいろな分野で使用されていくと予想し,最新ドローン技術,特にセンシングを中心とした内容を本誌の今月号の特集とし,五件の記事をお願いした。
まず,「ドローン産業の健全な発展と安全ルール」の題目で東京大学の鈴木真二氏にお願いした。
ドローンの小史や国内外での安全ルールを紹介いただいた。今後の利用展望として,五つのフェーズを挙げられている。また新規技術の失敗例と成功例として英国における自動車普及の遅れと米国における航空機の有効活用については,大変参考になった。
次に,「ドローンを活用した水稲における精密農業サービス」の題目でセキュアドローン協議会の春原久徳氏にお願いした。
「精密農業」は,1990年代より,その研究がされてきている分野であり,「複雑で多様なばらつきのある農場に対し,事実を記録し,その記録に基づくきめ細やかなばらつき管理を行い,収量,品質の向上および環境負荷低減を総合的に達成しようという農場管理手法」である。そこにドローンの空中センシングを活用した内容を主に紹介いただいた。
三番目として「災害対策のドローン活用事例:土石流予測を目的とした火山災害地域のセンシング技術」の題目で東北大学の永谷圭司氏,株式会社エンルートの伊豆智幸氏,国際航業株式会社の藤原伸也氏,金井啓通氏らにお願いした。
NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究により,2014年より,無人飛行ロボットを利用した「土石流予測を目的とした火山災害地域のセンシング技術開発」を進めてきた。その中の災害対策のドローン活用事例として,画像データ収集技術の開発ならびに,三次元地形情報収集技術の開発について紹介していただいた。
四番目として「リモートセンシング衛星とドローンのベストミックスによる地球観測の可能性」の題目で総合地球環境学研究所の渡辺一生氏にお願いした。
リモートセンシングを人工衛星で行う技術はここ40年間で地上分解能が格段に向上し,また,光学センサーでは不可能であった曇天および夜間時の画像取得もマイクロ波を照射する合成開口レーダ搭載の衛星によって可能としてきた。
このようなリモートセンシング衛星の技術発展の中で,新参者のドローンが地球観測で果たす役割や優位性はどこにあるか,なぜ今日,あえてドローンを用いる必要があるのだろうか,について,「安価で超高解像度な画像を取得できるという利点を活かした,高頻度な地球観測が可能」という点に答えを見いだしたいと言う。
最後に「ドローンで新しい遊びの創出」の題目で株式会社ORSOの坂本義親氏にお願いした。
携帯電話やスマートフォンの上で動作するコンテンツ作りやサービス作りをされていた株式会社ORSOでは,二年前から,新規事業の一環としてドローンを使った実験を積み重ねてきた。ドローンの使われ方を「黎明期」とし,ドローン事業を進める上での基準となり,また前提知識が全くない方でも理解して納得していただけるような「安全運航基準=自社ガイドライン」を作成した上で,事業を進めていると言う。
本特集では,五件の内容を紹介したが,今まさに日進月歩でいろいろな分野にドローンを使うことが考えられている。
今後のハードウエア・ソフトウエア両面におけるさらなる技術力向上が,「空の産業革命」実現のカギを握っているであろう。
広告索引
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