OplusE 2017年10月号(第455号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
いま,データセンターが熱い!
- ■特集にあたって
- O plus E編集部
- ■データセンター内ネットワーク構成の研究開発動向
- 大阪大学 大下 裕一,村田 正幸
- ■大規模データセンター向け光スイッチングシステム
- 名古屋大学 佐藤 健一
- ■データセンター向け400Gbps級次世代イーサネット規格と光トランシーバーの最新動向
- 日本オクラロ 平本 清久
- ■VCSELを用いた並列光モジュールの実装技術
- 古河電気工業 那須 秀行
- ■小型・高速・低消費電力を目指すシリコンフォトニクス光送受信器(光I/Oコア)
- PETRA 中村 隆宏
- ■高速光トランシーバーの国際標準化動向
- 富士通オプティカルコンポーネンツ 磯野 秀樹
特別企画
- ■画像センシング展2017 誰にでもわかる「特別講演」レビュー
- 中部大学 山下 隆義
連載
- ■【一枚の写真】高齢者の買い物を支援するロボット買い物カート
- 埼玉大学 小林 貴訓,山崎 誠治,高橋 秀和,福田 悠人,久野 義徳
- ■【私の発言】地道に続けていれば,道が開けてくる
- 大阪大学教授,日本光学会 会長 谷田 純
- ■【波動光学の風景】第126回 128. 平面波の表式
- 東芝リサーチ・コンサルティング 本宮 佳典
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第56章 目にも鮮やかディスプレイ(その3)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■コンピュータイメージフロンティア
- Dr.SPIDER
- ■【ホビーハウス】反射型ファインダーのカメラ-その2:素通し型
- 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
日々情報量が増加するデータセンターでは,ロジックLSI周辺への適用が可能な小型,大容量,低消費電力,高温動作,プリント基板やインターポーザー上への実装容易性を兼ね備えた光I/Oコアが求められる。写真は超小型のチップサイズの光トランシーバーである光I/Oコアである。(関連記事「小型・高速・低消費電力を目指すシリコンフォトニクス光送受信器(光I/Oコア)」PETRA 中村 隆宏:詳細は984ページ)
特集にあたってO plus E編集部
いま,データセンターが熱い!
いま,通信ネットワークの研究開発を語る上で,データセンターを抜きにはできない。インターネットが世界中に張り巡らされ,データ通信およびビジネスのインフラとして中心的な位置づけにあることはよく知られていることだが,その成長の仕方や内訳を見るとよくわかる。インターネットを流れる,いわゆるIP系データ(トラフィック)は,この類のデータとしてよく参照されるCisco Global Cloud Index: Forecast and Metrologyにて年率27%の成長率が見込まれており,年間のデータ量としては2017年8.6ゼータバイト(Zeta bytes, 略してZBと記載することが多い)であるものが,2020年にはほぼ倍の15.3ZBに到達するとの予測である1)。その背景としては,インターネットの継続的な成長だけでなく,そのビジネスの中心がGoogle,Facebook,Microsoft,AkamaiなどのHyper Giantと呼ばれるICT事業者の運用するデータセンター上での検索やデータ処理(Over The Topサービス,略してOTTサービスとも呼ばれる)に移行してきたことも大きい。これらの事業に向かうトラフィックが全世界の30%近くに達するともいわれる。Hyper Giantの運用するデータセンターは世界最大規模であり,サーバーとネットワークは建物内に閉じたものであったが,数10万台を超えるサーバーをネットワークで接続するため,数kmの距離を数100Gbpsのデータ速度で通信する状況である。その結果,2020年の段階で,データセンター内でのトラフィックは全トラフィックの77%を占め,データセンター間が9%,ユーザーとデータセンター間が14%の割合になるとの予想が立てられている1)。最近は,1戸の建物内に閉じず,複数のデータセンター間をネットワークで接続することで,見かけ上1台の巨大なデータセンターを構成するような傾向も出てきたので,長距離を低遅延で結ぶための通信需要も考えなければいけなくなってきているが,それでもデータセンター内での大容量データをいかにさばくか,が中心的な課題であることに間違いはなく,まさに“ホット”な話題である。では,世界のインターネット関係データの大半を扱っているデータセンターにどのような仕組みが要求されているのか?を探ろうとするのが本企画の前半の記事である。データセンター内は,前述のように膨大な台数のサーバーで構成されており,あるサーバーで解析したデータを別のサーバーに転送し,次の処理ステップに利用する,ということを繰り返している。そのため,処理の遅延に対しては要求が厳しくなっており,単純にサーバー間の階層構成を組めばよいというものでもなく,適した構成の選択が重要となってきている。その最近の研究動向について,大阪大学 大下裕一さまにご執筆いただいた。また,複数の入力から複数の出力に効率よく光のままスイッチングして,膨大なサーバー間の信号の交換・接続を行うための光スイッチングシステムにも,構成上・光スイッチング部品としての開発ポイントが存在する。その状況について,名古屋大学 佐藤健一さまに解説いただくこととした。
一方,膨大なデータを単に送受信できればよいというものではなく,小型なモジュールで低消費電力であることも重要である。現に,Hyper Giantの最大級のデータセンターの消費電力は原子力発電所並みとも見積もられており,前述の話題性とは別次元で“ホット”である。その対策に関する記事もいくつか,研究開発の最前線に立っている担当者にご執筆いただくこととした。まず,データセンター内の通信に主に用いられている,IP系の国際標準化仕様であるEthernet(IEEE802.3)の最も高速版として,400Gbpsの実現をIEEE802.3bsにて議論中であり2),2017年末に仕様策定の予定で進められている。その光送受信器の開発動向について,日本オクラロ(株)平本清久さまにご紹介いただく。また,発光素子として低消費電力化の中心的存在となっている垂直共振器型面発光レーザーのアレイを用いて並列伝送によってテラビット級のインターコネクションを実装の工夫も含めて,古河電気工業 那須秀行さまに解説いただくこととした。さらには,通信用光デバイスに用いられてきた化合物半導体で発光部品を構成し,変調器部分はシリコン導波路で形成した上でハイブリッド集積することによって,小型かつ低消費電力に作成する技術の進展している様子は2014年9月号『シリコンフォトニクスの展望』にてご紹介したが,その後の進展についてPETRA 中村隆宏さまにご紹介いただくこととした。さらに,前述のIEEE802.3bs仕様の標準化動向について,その会議活動の中心的な存在である富士通オプティカルコンポーネンツ 磯野秀樹さまにご執筆をお願いした。
インターネットにおけるデータセンターの重要性,ビジネスでの利用シーンはますます多くなっていくと予想される。その抱えている様々な課題に対する現状の解決に向けた技術的な動きについて,読者の皆さまの理解の一助となれば幸いである。
参考文献
1)https://www.cisco.com/c/dam/en/us/solutions/collateral/service-provider/global-cloud-index-gci/white-paper-c11-738085.pdf (Cisco Global Cloud Index: Forecast and Metrology, 2015-2020)
2)http://www.ieee802.org/3/bs/index.html (IEEE802.3bs 200G and 400G Ethernet Task Force)
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