OplusE 2019年9・10月号(第469号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
ペタビット級光伝送を支える光デバイス技術
- ■特集にあたって
- O plus E 編集部
- ■空間分割多重光伝送システム
- KDDI総合研究所 釣谷 剛宏
- ■モード分割多重伝送用ファイバーの測定法
- 大阪府立大学 大橋 正治
- ■SDM集積光スイッチ
- NTT先端集積デバイス研究所*,NTTデバイスイノベーションセンタ**,NTT 未来ねっと研究所***,妹尾 和則*, ***,鈴木 賢哉**,宮本 裕***
- ■超広帯域InP IQ光変調器技術
- NTTデバイスイノベーションセンタ*,NTT先端集積デバイス研究所**,NTT未来ねっと研究所***,小木曽 義弘*,長谷 宗彦**,石川 光映*,宮本 裕***
- ■マルチコア光増幅器の低電力動作化技術
- 日本電気 システムプラットフォーム研究所 松本 恵一
- ■空間モード光増幅技術
- NTTアクセスサービスシステム研究所 和田 雅樹,坂本 泰志,青笹 真一,山本 貴司,中島 和秀
- ■マルチコアファイバー接続デバイス技術
- 古河電気工業 杉崎 隆一,高橋 正典,塚本 昌義
- ■高密度多芯マルチコアファイバー接続技術
- 住友電気工業 齊藤 侑季,林 哲也,真鍋 賢,豊川 修平,森島 哲,永島 拓志,中西 哲也,佐野 知巳
特別企画
- ■画像センシング展2019 招待講演【ロボット】
- オムロン 中山 雅宗
- ■画像センシング展2019 誰にでもわかる特別講演【AI】
- SOINN 長谷川 修
連載
- ■【一枚の写真】ハイスピードカメラで捉えたガラスのヒビ
- 彫刻家 大成 哲
- ■【oe 玉手箱のけむり】その3 スポーツと光
- 伊賀 健一
- ■【私の発言】失敗を重ねながら良い方法を自分で見つけ出す訓練が後に活きる
- 東北大学 名誉教授 波岡 武
- ■【輿水先生の画像の話-魅力も宿題も-】第11回 続・Hough変換と大局視覚実装について―ヒト視覚とコンピューター視覚強化作戦―A Sequel of Hough Transform for Implementing Global Vision- On the Way to Enforce Computer Vision from Human Vision –
- YYCソリューション/中京大学 輿水 大和
- ■【光学ゼミナール】第11回 近軸光学(2)
- 宇都宮大学 黒田 和男
- ■【波動光学の風景】第138 回 140. 水晶の結晶構造
- 東芝 本宮 佳典
- ■【干渉計を辿る】第12章 偏光の干渉とエリプソメーター
- 市原 裕
- ■【研究室探訪】vol. 11 大阪府立大学 光電波システム研究グループ
- 大阪府立大学 光電波システム研究グループ
- ■【国立天文台最前線 先端研究を支える人たち】第9回 世界初の赤外線位置天文衛星の運用を目指すJASMINEプロジェクト
- 荒舩 良孝
- ■【ホビーハウス】しかけ絵本における時間経過の表現
- 鏡 惟史
- ■【コンピュータイメージフロンティア】『アド・アストラ』『ヘルボーイ』『クロール ‐凶暴領域‐』ほか
- Dr.SPIDER
- ■【ホログラフィ・アートは世界をめぐる】第11回 キルギスにて
- 石井 勢津子
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
チャネル容量のさらなる拡大には光変調信号の高ボーレート化と高次多値化が重要であり,テラビット級のチャネル容量実現に向けては100 GBaud超級に対応した光フロントエンド部品が不可欠となる。図は,超広帯域InP光変調器とアナログICが搭載された超広帯域光フロントエンドモジュールを用いて生成した160 GBaud/8QAMおよび192 GBaud/QPSK光信号の変調コンスタレーションであり,100 GBaudを大きく上回る世界最高ボーレートでのIQ光変調動作実証に成功している。(関連記事「超広帯域InP IQ光変調器技術」NTTデバイスイノベーションセンタ 小木曽 義弘 ほか:詳細は683ページ)
特集にあたってO plus E編集部
ペタビット級光伝送を支える光デバイス技術
光ファイバー通信において,その伝送容量B(Tbit/s)と光ファイバーへの平均入力光電力P ave(W)の間には密接な関係があることが知られている。通常の商用化されている単一コアを有する単一モードファイバー(SMF:Single-Mode Fiber)の物理的な適用限界は,情報伝送容量において100 Tbit/s程度とされる。これは光ファイバー一芯あたりのBを増加させるためにはP aveを増大させる必要があり,P ave > 1 Wのレベルにおいてコアの溶融現象により光信号伝送が困難となるファイバーヒューズの発生がかつて懸念された。これは入力光電力の増大が伝送容量制限の主な要因となるとの警鐘となった。図1は伝送容量の平均入力光電力依存性を示す。この図でF-2.5G,F-10Gなどは“0”と“1”の2値デジタル伝送を採用した伝送システム名称を表し,BとP aveの関係をプロットした点を○印で示した。これら○印に沿う実線は伝送容量1 Gbit/sあたりの平均入力光電力がほぼ1 mWであることを意味する。分散シフトファイバー(DSF:Dispersion-Shifted Fiber)を含むSMFの物理的限界が100 Tbit/s程度とされることから,ペタビット級を意味する1 Pbit/s(=1000 Tbit/s)を超える光伝送システムを実現するためには,通常の単一コアを有するSMFでは困難であることが容易にわかる。そこで,新たな光伝送方式として期待されるのが,光導波路であるコアのマルチ化によるマルチコアファイバー(MCF:Multi-Core Fiber)の採用と導波モードごとに情報を多重するモード分割多重(MDM:Mode-Division-Multiplexing)の採用をベースとした空間分割多重(SDM:Space-Division-Multiplexing)による方式である。図1から2値デジタル伝送の場合,B=100 Tbit/sでP ave=100 Wとなるが,同時にワイヤレス通信で実績のある多値変調方式を光ファイバー通信に採用する試みがなされ,多値変調の採用によるP aveの低減が意識されるようになった。
ペタビット級光伝送の実現へ向けたSDM方式登場の背景は以上のようなものであり,商用化へ向けた展開と課題が注目される。そこで,ペタビット級光伝送を実現する上でキーとなる光デバイスを中心に特集を組んだ。
本特集号で網羅した内容は,以下の通りである。
① 「空間分割多重光伝送システム」は,通信トラヒック量の最近の増加トレンドについて言及し,システムの分類や特徴,システム技術の研究動向および今後の展開と課題について述べている。
② 「モード分割多重伝送用ファイバーの測定法」は,複数の導波モードが伝搬可能なフューモードファイバーにおいては,モードごとに構造パラメーターであるカットオフ波長やモードフィールド径を評価する必要があり,これらを評価する技術について述べている。まず,評価法を俯瞰するため測定項目と測定法が整理され,構造パラメーターの評価法,高次モードの伝送特性評価法と実験結果が紹介されている。
③ 「SDM集積光スイッチ」は,将来の大容量光通信の実現に不可欠と考えられるSDMネットワークにおけるスイッチング方式の分類とMCFを用いたスイッチングデバイスが解説されている。
④ 「超広帯域InP IQ光変調器技術」では,マッハ・ツェンダー(MZ:Mach-Zehnder)型光強度変調器構成を基本とする光送信器に搭載される8QAMやQPSKなどの多値変調を実現する超広帯域InP IQ光変調器と高速アナログICを一体化・実装された世界最高速の光フロントエンドモジュールが紹介されている。
⑤ 「マルチコア光増幅器の低電力動作化技術」は,従来型のエルビウム添加光ファイバー増幅器(EDFA:Er3+-Doped Fiber Apmplifier)が抱える消費電力増大という課題を克服するためのマルチコアEDFAの低電力動作化技術を紹介している。
⑥ 「空間モード光増幅技術」では,空間モードを光増幅するためのEDFAとして, 数モード光増幅器(FM-EDFA:Few Mode EDFA)と結合型マルチコア光増幅器(CMC-EDFA:Coupled Multi-Core EDFA)について空間チャネル間の利得偏差を補償する技術を中心に,近年の研究動向を紹介している。
⑦ 「マルチコアファイバー接続デバイス技術」は,MCFを用いたSDM光伝送システムを実現する上で必須となるMCF接続部品について紹介している。MCFと単一コアファイバー(SCF:Single Core Fiber)との接続が必要不可欠であることから,この変換デバイスとしてファンインファンアウト(FI/FO:Fan-in/Fan-out)が用いられる。六方細密型と正方格子型のFI/FOについて,挿入損失および接続損失特性が示され,さらにMCFコネクターについて紹介している。
⑧ 「高密度多芯マルチコアファイバー接続技術」では,多芯MCFコネクター実現へ向けた課題を整理し,超高密度256チャネル多芯MCFコネクターおよびパッシブ型の回転調心を実現した非円形MCFクラッドアレイが紹介されている。
以上,本特集号が「ペタビット級光伝送を支える光デバイス技術」理解の一助となれば幸いである。
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