光電極を用いた酸化剤と水素の効率的な製造方法を開発産業技術総合研究所
従来,さまざまな化学薬品の製造には酸化還元反応を伴う場合が大部分である。もし,太陽光エネルギーを利用した光電気化学的な化学薬品製造プロセスが高効率・低電圧で実現できれば大きな省エネ効果と低コスト化が期待でき,再生可能エネルギー社会構築への大きなブレークスルーとなるが,そのような検討例はほとんどなかった。
今回の技術により,化学薬品としては過硫酸や次亜塩素酸塩,過酸化水素,過ヨウ素酸塩,四価セリウム塩などの酸化剤を製造できる。太陽光エネルギーを水素と過硫酸として化学エネルギーに変換・蓄積する反応では,ほぼ100%の選択性で過硫酸へ変換でき,非常に高い太陽光エネルギー変換効率(ABPE効率=2.2%)を達成できた。太陽光エネルギーを利用することで水の電気分解の電解電圧を著しく低減しながら,水素エネルギーと多様な有用化学薬品を同時に製造できる技術であり,今後,経済性の高い新規プロセスの実用化が期待されている。