テラヘルツ波でコンクリート鋼橋外ケーブルの被覆PC鋼線を可視化東北大学 研究グループ
エクストラドーズド橋構造では,荷重分散のための外ケーブルが重要な構成要素のひとつであるが,これはポリエチレン樹脂等で被覆されているため,腐食などに対して極めて安全性が高く,点検を要しないものと考えられてきており,現在,有効な健全度の点検手法が無いと言われていた。ケーブルの外層被覆を除去して目視点検する破壊的な検査では,点検後に元の状態に修復することは困難であり,かえって水等の侵入による腐食を招きかねない事から,非破壊による内部PC鋼線点検方法が求められていた。
今回,同グループ独自の電子デバイステラヘルツ光源およびレーザーテラヘルツ光源と測定光学系を開発し,それを,ポリエチレン等の樹脂に対して高い透過能を持ち,樹脂内部の金属表面からは効率よく反射される「テラヘルツ波」の特徴を活かすことにより,外層樹脂被覆を除去することなく非破壊で内部のPC鋼線をイメージングすることに成功した。
従来の非破壊検査に用いられる放射線と異なり,これまで検査方法がないと言われていた外ケーブルの内部PC鋼線を,非破壊で検査出来る,浴びても人体に悪影響が無いテラヘルツ波を用いた画期的な新たな手法に期待されている。