異なる原子の光格子時計を短時間で比較することに成功東京大学,理化学研究所 研究グループ
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科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業において,東京大学と理化学研究所の研究グループは,異なる原子を用いた光格子時計を精度も高く,かつ短い計測時間で比較することに成功したと発表した。同グループは,異なる原子を用いた時計の周波数比を測定した。測定のために新たなレーザーシステムを構築し,光格子時計でイッテルビウム原子を捕捉し,原子の振り子の振動数を測れるようにした。なお,イッテルビウム光格子時計で周波数シフトを精密に評価することで,2009年に米国の標準研究所で実現されていたイッテルビウム光格子時計よりもさらに10倍の高精度化に成功した。この結果,国際単位系の1秒の実現精度をはるかに上回る5 ×10
-17の不確かさで周波数比を決定し,これまでの記録を更新した。加えて,光格子時計の安定性をさらに向上させたことにより,これまでの最速計測時間より90倍も速い150秒で2台の時計の比較を実現した。このような異種原子時計の超高精度な比較は,物理定数の恒常性の検証を可能にし,素粒子の標準理論を超える新しい物理の解明に役立つと期待されている。