強レーザー場トンネル現象を用いて光吸収する分子の様子を可視化名古屋大学,電気通信大学,放送大学,モスクワ物理工科大学 研究グループ

 名古屋大学,電気通信大学,放送大学,モスクワ物理工科大学の研究グループは,強レーザー場におけるトンネル現象を利用した新しい計測法を用い光吸収する分子の様子を,電子分布の変化として可視化することに成功したと発表した。
 今回,同グループは,強いレーザー光を照射した際に起こる光の強い電場によるイオン化,すなわち「トンネルイオン化」を利用して,一酸化窒素分子の光吸収過程を観測したところ,光吸収の前後で分子内の電子分布がクローバー型から楕円型に大きく変化する様子が,生成イオンの画像から読み出せた。これは,光吸収する分子内の電子の動きを可視化したことになる。
 分子内での電子の動きは化学反応で重要な役割を果たし,様々な物質の合成を通じて私たちの生活に大きな関わりをもっている。今回の研究で用いた手法を発展させることによって,反応途中の分子において電子がどのように動いているかを撮影することができるようになり,化学反応過程のより深い理解とその高精度な制御に向けた新たな指針が得られるものと期待される。

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