生きた細胞内のグルタチオンを可視化し,定量する東京大学 研究グループ
GSHは,主に活性酸素・酸化ストレスの除去や異物(薬剤など)の排出を担う,いわば「細胞が生き延びるための防御物質」として働く。がん細胞はGSH濃度を高く保っているといわれており,そのため放射線治療や抗がん剤に対して高い耐性をもち,治療効果が弱まってしまうことが示唆されている。したがって,生きた細胞内のGSH濃度やその増減を測るのに,従来法では,細胞を破砕しないと測れなかったところ,同グループは,GSHに対して可逆的に応答する蛍光色素を開発,生きた細胞内のGSHの濃度情報を得ることに成功し,さらにその時間変化の観察を可能とした。
今後,がん研究や酸化ストレス分野における基幹的研究から,がん治療研究や創薬研究といった医薬研究に対して多大な貢献をもたらすと期待される。