超高圧の光で加熱された物質が、光を押し戻す条件を理論的に発見大阪大学 研究グループ

 大阪大学の研究グループは,高強度の光と物質の相互作用において,物質が星の内部に匹敵する超高圧のプラズマ状態に加熱され,プラズマの表面張力が光を押し戻すことを,理論的に明らかにしたと発表した。この理論は,これまでに発表されている実験に新解釈を与えるものである。
 従来の高強度レーザーのエネルギーでは,光に匹敵する圧力まで物質を加熱することができず,加熱された物質がレーザー光を押し戻す状況に達するとは考えられていなかった。
 今回,同グループは,同大学レーザー科学研究所の最先端の高強度レーザーを物質に照射すると,超高圧のプラズマ状態に加熱された物質がレーザー光を押し戻す条件が成立することを,プラズマの表面張力という新しい概念を用いて理論的に解明した。光がプラズマを押す過程を詳細に見ると,光はプラズマ表面の電子だけを前方に押し込み,表面に電場を励起する。電子より重いイオンは,電子が作った表面電場に引っ張られて後からゆっくりと前方に移動し,この過程でプラズマに穴が開いていく。この表面電場が,表面張力としてプラズマの圧力を助けることで,光の圧力とバランスし,光の異常侵入が停止することを発見した。この状態を方程式で表して,密度について解くことで,異常侵入が停止する密度が明らかになった。
 強い光と物質との相互作用の基本的な性質の1つを明らかにした本成果は,高温・高密度プラズマ中で起こる様々な現象の解明に貢献するものである。レーザー光で超高圧プラズマを生成し,その特性を理解して制御することで,星の内部や宇宙空間に満たされているプラズマが作り出す様々な天文現象を解明し,実験室宇宙物理学の進展に寄与することができ,また高効率の粒子加速とその医療応用や,核融合エネルギー開発など革新的な技術の進展に繋がることが期待される。

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