tDCSを用いた統合失調症に対する治療効果をNIRSで予測国立精神・神経医療研究センター(NCNP) 研究グループ

 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の研究グループは、経頭蓋直流電気刺激(tDCS:transcranial direct current current stimulation)の統合失調症に対する治療効果を、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS:near infrared spectroscopy)で予測し得ることを発見したと発表した。
 統合失調症は一般人口の約1%が罹患する、原因不明の精神疾患である。主な症状として幻覚や妄想などの精神病症状が挙げられる。
 tDCSとは、1-2 mA程度の微弱な電流を頭皮上から当てる方式のニューロモデュレーションで、麻酔の必要がなく、副作用のリスクが小さいなどの利点がある。
 同グループは先行研究で、tDCSが統合失調症の精神病症状や認知機能障害を改善することを発見した。今回、tDCSによる精神病症状の変化値と、NIRSで測定される酸素化ヘモグロビンの積分値との関連を解析した。NIRSは、生体組織に対して透過性が高い近赤外光の反射光を測定して血中の酸素化ヘモグロビンを調べ、脳活動を捉える検査である。その結果、左頭頂側頭部の酸素化ヘモグロビン積分値と、精神病症状の変化値の間に、有意な相関が示された。
 これにより、ニューロモデュレーションの統合失調症への治療効果において、NIRSで測定される酸素化ヘモグロビンがバイオマーカーとなる可能性が示された。今後、tDCSの効果を事前に予測し、合理的な運用につながると期待される。

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