レーザーコーティング照射条件の施工前予測が可能なシステムを開発日本原子力研究開発機構,大阪大学 研究グループ
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日本原子力研究開発機構と大阪大学の研究グループは,レーザーコーティング加工時に生じる固体金属の溶融・凝固過程を汎用エンジニアリングワークステーションにより評価可能な計算科学シミュレーションコードSPLICEを開発したと発表した。レーザーコーティング加工は,基板上にコーティング粉末を噴射すると同時にレーザー光を照射し,高品質なコーティング膜を付与する技術である。本加工技術は金属基板に異なる金属膜を薄くコーティングすることで異なる機械的性質を付与できることが特徴である。しかしながら,要求仕様を満足するコーティング膜を付与するためには,コーティング粉末の供給量やレーザー光の出力などを,基板材料とコーティング粉末材料の組み合わせに応じて適切化することが求められる。今回開発したSPLICEは,このコーティング膜厚,溶込み深さなどの要求仕様を満足するレーザー照射条件などの施工前評価を実測では数ヶ月要していたのに対して,数週間に短縮することができた。
SPLICEの根幹を成す固体金属の溶融・凝固過程の評価性能は,SPring-8からの高輝度放射光X線を用いたイメージング法などにより,その妥当性を確認している。
今回の成果により,今後,市場展開が計画されているレーザーコーティング装置の産業界での市場拡大が期待される。