遠赤外線自由電子レーザーによる、アミロイド線維の効果的な分解を確認東京理科大学,大阪大学 研究グループ
タンパク質が繊維状に固まったものをアミロイド線維といい,生物の体内で異常に蓄積,沈着すると,アミロイドーシスなどの重篤な疾患を引き起こす。アミロイド線維は生物の体温程度の温度では非常に強固で水にも溶けにくいため,一度沈着したものを取り除くことはこれまで困難とされてきた。FIR-FELは生物の体に浸透しやすいため,正常な組織を傷つけることなく,脳や体の深い位置にある神経や臓器に溜まったアミロイド線維を直接破壊できる可能性がある。
今後は,他のペプチドのアミロイド線維についても,FIR-FELの効果を検証し,アルツハイマー病をはじめとするタンパク質の立体構造の変化をきっかけとする疾患の病態解明や治療の研究に弾みがつくと期待される。