隠れた場所の温度分布を可視化するフレキシブルセンサーシートを開発産業技術総合研究所 兼 人間拡張研究センター 研究グループ
普段使われる体温計のように,一般的な温度計測では測定器を固定したある一点を計測する。しかし,こうした計測方法では,測定器の固定方法やわずかな位置の違いによって計測結果が変わってしまい,得られる情報も限定的であった。今回開発した温度分布センサーシートは,フィルムの表面に多数の温度検出部を配列させて,面内の温度分布を一括して計測するものである。薄いシート状なので,赤外線サーモグラフィーでは観察が困難な密閉空間や狭所の温度分布も計測できる。従来開発されていたものよりも幅広い温度への対応を実現したことで,日常生活内での温度計測から,工場や製造装置の温度管理など,多岐にわたる温度分布計測への応用が可能となった。さらに,開発されたセンサーシートの全製造工程は印刷技術によって行われるため,シートの大面積化や低コスト生産にも期待できる。