磁性体3次元らせん状ネットワークの複雑な磁気構造の可視化に成功東北大学
磁性体からなる3次元のナノスケール人工構造体は様々な新奇スピントロニクス物理現象を発現することが予測され,今後の発展が期待される興味深い研究対象である。しかし,実際にはそうした物理現象が創発されるような構造を形成するのは容易ではなく,また,現象を理解して応用する上では,その磁気的な構造を明らかにすることが不可欠であった。今回,研究チームは自己組織化の手法を用いることで,ナノスケールで3次元的にらせん状のネットワーク構造を有した「ジャイロイド」をNiとFeの磁性合金で形成することに成功した。そして,電子線ホログラフィーを用いてその磁気構造を可視化し,磁性ジャイロイドが非常に複雑な磁気構造を有していることを明らかにした。得られた知見は,音声などの時系列情報の処理を得意とするリザバー計算機などの新概念コンピューターへの有用性を示唆するものであり,今後,基礎・応用の両面で様々な展開が期待される。